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2018年07月21日

スポ根マンガを「古典枠」に!

 引き続き猛暑。
 終りが見えない暑さの中、33度くらいだと「ああ、ちょっと楽」と思ってしまったりする自分が怖い(苦笑)

 猛暑・酷暑は自然現象なので仕方がないとして、日々のニュースで理不尽、腹立ちを感じるのは、「人為」の方だ。
 連日「厳重注意」とか「危険」とか報じられているのに、公的機関や企業が一向にその警告に耳を傾けず、「人災」としての熱中症が多発している。

 とりわけ酷いのが学校行事だ。
 小学校低学年の校外学習を強行しての死亡事故。
 炎天下や蒸し風呂状態の体育館での熱中症。
 ヒートアイランド現象による気温上昇が明らかなのに、遅々として進まないエアコン設置。
 全て頑迷で精神が凝り固まった大人が引き起こした「人災」である。

 医学やスポーツ科学は日々更新されているのだから、学校の施設や行事の在り方にもそれは速やかに反映されなければならない。
 間違った精神主義で今現在子供が殺されており、その延長線上に「地獄」が予測される2年後の五輪、#Tokyoインパール2020がある。

 上が変わらないなら、下から意識改革して突き上げる他ない。
 そのためにはまず、自分の中にある「間違った精神主義」を斬らねばならぬ。
 私の世代とそれ以上が、子供の頃から影響を受けてきたであろう「スポ根マンガ」には、はっきりと「負の遺産」がある。
 今の目で見ると完全に間違った部分は、たとえば古典作品の中で描かれる迷信と同じように、間違いは間違いとして認識されなければならない。
 作品の価値は変わらず評価しつつ、「時代性」の部分を現代のリアルと切り離して相対化するのだ。
 陰陽道の迷信の否定と「源氏物語」の価値が両立するように、である。

 以下に、私も大好きな二作品について述べてみたいと思う。

●「あしたのジョー」
 減量の描写が完全に間違っている。
 汗をかいたり長期間水を断ったりしても胎内の水分が失われて脱水になり、身体を壊すだけだ。
 必要な栄養と水分は摂取しながら徐々に体重を落とし、軽量直前に水を抜いてリミットに合わせるのが今の減量法。
 ただ、作中の不合理で過酷な減量描写は、物語の根幹と関わっているため、修正やアップデートは不可能。
 今読むなら「60〜70年代の時代劇」として鑑賞する他ない。

●「ドカベン」
 タイトルの「ドカベン」から、ちょっともう古い。
 炭水化物ばかりをドカッと大量に詰め込む食事では、「てっとり早く体重を増やす」ことはできるが、「動ける身体作り」には全く向いていない。
 野球部の合宿などではいまだに「身体づくり」と称して「丼飯ノルマ」のような時代錯誤がまかり通っている所もあるようだ。
 指導者の意識改革が望まれる。 
 作中では、本来の主人公のドカベン・山田太郎は喜怒哀楽をあまり表に出さないため、物語のエモーションは岩鬼や里中が牽引していた。
 とくに「小さな巨人」里中は、高校野球編の実質の主人公だと思うが、客観的に見れば「身体が出来る前に無茶な連投を強いられ、一度は潰されたエース」だ。
 高校野球、とくに夏の甲子園大会は、そろそろ見直すべき時代になっていると思う。
 毎年のように選手や応援の生徒が熱中症で倒れ、将来性のある投手を使いつぶしてしまう在り方は、否定されるべきだ。
 最低でも、真夏の炎天下の大会などは、とっとと止めなければならない。
 過去の大会の様々なドラマや、夏の大会を扱った作品の価値を遡及して否定したりはしない。
 夏の風物詩という見方も根強いが、マイナス面を考えれば、もういい加減にするべきだ。
 そう言えば、つい先ごろ、この「ドカベン」シリーズも大団円を迎えた。
 そろそろ頃合いではないだろうか。

 ということで、

 スポ根マンガを「古典枠」に!
 そして、東京五輪夏開催の見直しを!

posted by 九郎 at 23:47| Comment(0) | | 更新情報をチェックする