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2018年08月19日

星の王子さま

 子供の頃から「本好き」を自認してきて、実際分量としてはかなり読んでいる方だと思う。
 しかし「一人の作者や一つのテーマにハマる」傾向はずっとあって、読書は「狭く、深く」偏りがちだ。
 分量・冊数読んでいる割には、意外に有名どころがぽっかり抜け落ちていたりもする。
 恥ずかしながら、今回取り上げる「星の王子さま」も、そんな中の一冊だ。
 ずっと興味はあり、何度か手に取って最初の数ページ(あのウワバミのくだり)だけは面白く読んでいたのだが、なぜかその後が続かなかった。
 心のタイミングがうまく合わず、「縁」がなかったということだろう。
 それでもいつか読もうと思いながら、未読のままに、すっかりおっさんになってしまっていた。

 この度、改めて読む気になったのは、しばらく前の、某プラントハンター氏の「暴挙」がきっかけだった。
 あまり愉快でない話題について詳述する意欲は湧かないので、心覚えにキーワードのみ記しておく。

「プラントハンター 西畠清順 星の王子さま 改変 バオバブ」

 改変騒動に関する記事を眺めながら、何となく「今なら読めそうだ」と感じて図書館に直行。
 最もオーソドックスな岩波ハードカバー版を借りてきて、一気読みした。

 結論から言うと、生きてる間に読めて本当に良かった!
 そういう意味では某氏に反面の感謝である。

 様々なバージョンが出版されているが、原著者の挿絵はやはり必要不可欠だと感じる。
 今、岩波の内藤濯(ないとう あろう)訳を求めるなら、以下の中から選ぶことになりそうだ。


●「星の王子さま―オリジナル版」
●「愛蔵版 星の王子さま」
●「星の王子さま」(岩波少年文庫)

 カテゴリとしてはもちろん「児童文学」になるけれども、全てのすぐれた作品がそうであるように、「大人にこそ読まれるべき」「今、この私のために書かれた」と感じられる作品だった。
 私なりの分類で言えば、これは「心の中の友だち」の物語だった。

 心の中の友だち、心の中の恋人

 そして、基本的には「友だち」の構図を持ちながら、大人が読む場合はさらに重層的な受け止め方になってくるはずだ。

 少年時代の自分
 少年時代の友だち
 今交流のある少年たち、あるいは自分の子どもたち

 様々な位相の「子ども」との対話が、読み進めながら、心の中で繰り広げられるはずだ。

 人生の中で、繰り返し、何度も、味わうための一冊。 
 私の「縁」は遅くなってしまったけれども、別に早い遅いは関係ない。
 今借りている本は図書館に返却するとして、やはり手元に一冊、作者挿絵の入った本が欲しいのである。
posted by 九郎 at 00:35| Comment(0) | 児童文学 | 更新情報をチェックする