このカテゴリ「どんと」にまつわる作品である。
ことの発端は90年代半ば、久々に連絡を取った友達に誘われ、とある海岸の不思議なお祭りに参加したことだった。
どんと(当時ボガンボス)のライブで受けた衝撃は、現地のスケッチとともに深く記憶に刻まれた。
90年代の手記「月物語」
数年後の00年、たまたま立ち読みした音楽雑誌にどんとの訃報を知り、本屋で立ちつくしながら、祭りの会場でどんとと少し話したことや、隣のハンモックで眠っていた赤ちゃんの手をしげしげと眺めながら、「ちっちゃいなあ、なんで動いてんねやろう」と呟いていた姿が、よみがえってきた。
それから貪るように音源を聴き込み、01年ふと思い立ってお祭りのあったビーチへ。
そこで追悼ライブ「どんと院まつり」が開催されることを知る。
まるでどんとが還ってきたような、歌詞の世界が現実化したような熱狂。
その後の00年代前半、私は毎年のようにビーチのお祭りに参加するようになり、不思議な縁で人とつながり、昔の友人とも再会した。
どんとの世界に少し「巻き込まれた?」と感じた数年間。
その感覚をなんとか自分なりに描きとめられないかと考え始めていた。
自伝的体裁ながら虚実混交、未完の奇書「どんとマンガ」。
当時読み込んだこの不思議なマンガに影響され、00年代初頭のあのビーチの思い出は、「どんとマンガ」の絵柄で思い浮かぶようになった。
描きたいと思ったのが二十年近く前。
何度か試行したが果たせず、それならと元のマンガ全五十数ページ+手元にある限りの作者のイラストを模写しつくしたのが三年前。
作品に着手したのが二年前。
未完の形だった「どんとマンガ」の続きにもあたりそうなその幻想を、なんとか紙に作品として定着できないかともがいてきた二十年だったのだ(苦笑)
(なので、マンガ「カーニバル」は二次創作「的」な作品ともいえるけれども、著作権的には問題無いよう配慮してあります)
全18ページのうち、まずは前半9ページを公開。
(クリックすると画像が拡大します)
(続く)