一応仏教遺構とされているけれども、もしかしたらもっと古くから祭祀が行われていた場所なのかもしれない。

すぐ近くには「岩屋の千年杉」がごろんと横たわっている。根回りが6m近くある大木だったらしいのだが、十年ほど前に台風で倒れてしまったそうだ。

二上山は標高で言うと500mあまりの小山だが、元々は火山であったとされており、何度か激しい自然災害が起こっている。
昭和以降でも台風や山火事、二上山を進言とする大地震などが記録されている。
急な上り坂をようやく終えると、雌岳から南へ葛城・金剛山系の山々が見渡せる。

雌岳から雄岳へ、ジェットコースターのようなU字を描きつつ、一旦下り、さらに登る。「馬の背」と呼ばれる窪みの部分だ。雄岳山頂のほど近くには大津皇子の御陵がある。折口信夫「死者の書」の物語の源泉になった、二上山の核心部分だ。

山頂から東へ下りると、葛城の里に至る。東側のルートは凄まじく急峻で、森は深く、登山道は昼なお暗い。一歩下るごとに膝は悲鳴を上げ続ける。
下りきって葛城の里に到着する。
そこにはヒガンバナの咲き乱れる田園風景が広がっている。

これまでに何度も繰り返してきたが、葛城の里のヒガンバナは本当に素晴らしい。
