
【十種神宝(とくさのかむだから)】
神道に伝わる謎の図像の一つ。天皇家の「三種の神器」とは違い、記紀神話に記述が存在しないものの、その力は死者をも甦らせることが出来るとされる秘宝。
その割には神社の護符などで版画印刷されていたりするので、名前と何種類かの図像はわりと流布している。上掲図像もそうした木版護符の配置を下敷きにしている。
文字と絵の中間のようなデザインが面白い。
中央の剣が「八握剣(やつかつるぎ)」、その下が「品物比礼(くさぐさのもののひれ)」、右上から「沖津鏡(おきつかがみ)」「「生玉(いくたま)」「死返玉(まかるがえしのたま)」「蛇比礼(おろちのひれ)」、左上から「辺津鏡(へつかがみ)」「足玉(たるたま)」「道返玉(ちがえしのたま)」「蜂比礼(はちのひれ)」と名がついており、つまるところは三種の神器と同じ「剣・玉・鏡」に、バリエーションをもたせたものであると言う説もある。
この十種神宝をもって「ひと、ふた、み、よ、いつ、むゆ、なな、や、ここの、たり」と魂振りをすれば、死んだ者も甦るとされている。「ひと、ふた……」の唱え言葉は「天の数歌(あまのかずうた)」とも呼ばれ、病気治しの祈願の際に唱えている神道の流派もある。