現在の和歌山市周辺は古くは「雑賀(さいか)」と呼ばれ、室町時代より実戦兜「雑賀鉢(さいかばち)」の生産で知られた。
一口に雑賀鉢と言ってもさまざまな形状があるのだが、特徴的な様式に「置手拭(おきてぬぐい)」と呼ばれるものがある。
頭頂部に二枚あわせの鉄板を「手拭をのせるように」装着し、後頭部には通気用(?)の隙間を空けてある。
鉄板同士の結合には鋲が使用されており、兜の表面には防錆用に薄く黒漆が塗られたいた。兜前面の「眉庇(まびさし)」と呼ばれる箇所には人間の眉毛を模した飾りが付くことが多かったようだが、この飾り自体は雑賀鉢独自の様式ではなく、様々な様式の兜に広く見られる。
実戦本位の質実剛健な造りは、量産型ザクみたいでカッコいい。(すぐガンダムで喩えたがるのは私の世代の悪い癖なのだが……)
和歌浦の英雄・雑賀孫市も、おそらくこの雑賀鉢を被ったはずだ。和歌山市内で毎年恒例の孫市まつりでは、自作甲冑に身を包んだ皆さんの武者行列が出るのだが、この雑賀鉢もご当地モノとして人気が高い。
こうしてスケッチしていると、ガンダム世代=プラモ世代の血がざわざわと蠢いてくる。いつか自分で被れるものを造ってみたくなって来るのだ……
機が熟すまで、資料集めやスケッチ、紙による試作などをボチボチ進めて行きたい。
気長に、無理せず。
2009年04月26日
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