2006年01月18日
記憶の底7
幼い頃、毎晩怖くて怖くてしかたがなかったことがある。それは眠る時、顔を横にして枕に耳を埋めること・・・
枕に耳をつけて目を閉じると、ザッザッザッという音が規則正しく聞こえてくる。おそらく耳のあたりの脈拍が、枕のソバガラで増幅された音だったと思うのだが、幼児の私にとっては不可解で無気味きわまりない音だった。真っ暗な寝床で体内音に耳を澄ませていると、頭の中でその音に触発された妄想が湧き起こってきた。
薄暗い山道を、白い棺桶を担いで進む、数人の黒い影・・・
私はかなり長い間その謎のイメージに怯え、怖くて中々眠れなかった。枕に耳をつけて眠ると、そのまま自分も棺桶に入れられて山奥に運ばれてしまい、二度と目が覚めなくなるような気がした。
何がきっかけでそんな突飛な空想を始めたのか記憶は定かではないが、「もしかしたら」と思い当たることもある。
妄想の中のイメージと直接重なる経験では無いのだが、母方の曾祖母の思い出がそれだ。次回、そのことを書いてみたい。
posted by 九郎 at 23:02| 原風景
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