2006年01月27日

記憶の底9

 家の周りには大勢の黒い服を着た大人達が集まっている。拡声器で何かガァガァ言っている声が聞こえてくる。
 亡くなったひいおばあちゃんの曾孫、私と弟と従兄弟の三人には、それぞれ色紙で飾り付けられたカサ、ミノ、ツエが持たされている。従兄弟はツエをつきながら、ふざけて老人の真似をしている。私もカサを被って見せながら「ツエの方が面白そうやな」などと考えている…

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 このあたりになると現実と空想の境目がかなり怪しくなってくる。どこまでが本当にあったことなのか分からなくなってくる。何しろ田舎で、わりと近年まで土葬が残っていた土地のことだから、幼児にカサ、ミノ、ツエを持たせるような、何らかの葬送の風習があったのかもしれない。ただ単に幼児らしい思い込みで、他の行事の記憶が混入していたり、空想を現実の記憶として捉えているだけなのかもしれない。
 「記憶の底」で書いてきたことは全般にそうなのだが、おそらく現実か空想かということよりも「このように記憶している」ということが私にとって重要なのだ。夢か現かウソかマコトか分からないけれども、このような原風景を抱えていることが、今の私の趣味嗜好や人格の元になっていると感じる。
posted by 九郎 at 07:47| 原風景 | 更新情報をチェックする