少しばかりの縁あって、沖縄には何度か行った。
出身者でも在住者でも無く、さほどの回数足を運んだわけでも無いが、一時期の私は沖縄のことを深く知る人達と親しく接し、色々な話を聞かせてもらった。だからはじめて訪れた時にも、懐かしい場所に帰ってきたような既視感があった。
那覇周辺のほんの狭い範囲だったが、憑かれたように歩き回り、隅々を視て廻った。
沖縄本島を訪れた旅行者が必ず通る表の顔「国際通り」のお土産屋には、色とりどりの「オキナワ」が陳列されている。それは旅行者の好むオキナワの顔で、もう少し言うと「旅行者が好むだろうと沖縄の人が思っているオキナワ」で、やっぱり当の旅行者にとっても楽しいオキナワだ。
我々ヤマトンチューから見れば、外人向けにヒノマルとかフジヤマとかサムライとかヨコヅナとかゲイシャガールとかが並べてある店先みたいなものだけれど、それはそれで楽しいし、縁日好きにはたまらない。
しかし日本好きのガイジンさんが、日本人にとっては何気ない日常の風景を、素朴な視線で再評価してくれるように、ウチナー好きのヤマトンチューから見た沖縄の日常風景の面白さというものも確かにある。 国際通りから路地に入り、少しばかり歩いてみれば、沖縄の人がごく普通だと思っている「不思議の世界」が、すぐそこに広がっている。
わずかな時間しか留まらないガイジンとしての私は、そこを訪れるたびにあまりの面白さに足の疲れも忘れ、ほっつきまわり、見聞きし、写真を撮り、細々とメモした。
そんなオキナワの断片集。