2006年01月29日

ガジュマル

 内地の人間には異国情緒たっぷりに映るけれども、ガジュマルは沖縄ではありふれた樹木だ。公園や学校にも普通にあるし、民家の庭先や森の中、神域、墓地など、ようするにどこにでも生えている。
 住宅地の屋根の間からこんもりした緑が見えるとき、それを目印にほんの少し空き地の藪を(ハブに注意しつつ)分け入ってみると、そこには異世界が広がっている。

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 この見事なガジュマルはとくに有名な巨木というわけでは無い。ここで紹介している他のガジュマルもそうだが、沖縄では「その辺にある樹」だ。しかしガイジンの私は、別の感じ方をしてしまう。
 思いがけずガジュマルの大木に出くわした時の静かな驚きをどのように表現したらよいだろうか?
 例えば東南アジアの森の中で、いきなり象に出くわしたら同じように感じるかもしれない。
 例えばエレベーターのドアが開いて、中にいきなりジャイアント馬場が立っていたら、同じように感じるかもしれない。
 なんだかよくわからない表現になってしまうが、そんな感じだ。
 樹木というより「巨大生物」という表現がよく似合う。

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 異様な姿を特徴付けるものに「気根」がある。ガジュマルは四方八方野放図に枝を伸ばすだけでなく、その枝から茶色の毛の房のような気根を下ろす。だらりと垂れ下がった気根は、地面に到達すると年月をかけて太く成長し、それ自体が幹の一部となる。幹からかなり離れて成長した気根のせいで、アーチ状になった樹もよくある。普通、樹は下から上に成長し、私たちはそうした樹の姿を見慣れている。ガジュマルは逆に上から下へ垂れ下がる形状が混入している。異様に見える原因の一つだろう。
 ゆっくりゆっくり、一歩また一歩と、外の世界に歩き出すように、ガジュマルは成長していく。そのように育つので、立地や日照条件により、一本一本の姿は全く違うものになって行く。それは個性と呼ぶほかない。沖縄ではこの樹にキジムナーという妖怪が住むと言われている。赤い髪の子供の姿をした精霊の伝説も、現地でガジュマルに対面してみると、単なる迷信と笑えなくなる。

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 沖縄の亜熱帯の気候は、ガジュマルをはじめ多くの植物をぐんぐん育てる。石垣などの人間の建造物とも合体し、奇々怪々でどこかユーモラスな風景を作っていく…
posted by 九郎 at 18:51| 沖縄 | 更新情報をチェックする