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2010年07月13日

和船を折る

 戦国時代の勇壮な軍船の資料をあたっていると、元プラモ少年の血がざわざわと騒いでくる。
 どこかに模型売ってないかね?
 これまでの記憶から、模型売り場を脳内に再現してみる。

 20世紀の軍艦のプラモは人気だ。
 帆船模型は模型趣味の中でも「高い」部類に入る。
 戦国時代なら、城や兜のプラモは売られている。

 さて、それでは戦国時代の軍船は?

 今まで和船の模型を探そうと思い立ったことは無かったので、なんとなく「有りそうで、無さそうで」というぼんやりとしたイメージしかわかない。
 それでは、とネットで調べてみたが、どうやら現在「和船」というカテゴリで写実的な模型は(少なくとも大手メーカーからは)販売されていないようだ。
 昔「科学と学習」の付録で「遣唐使船」がついていたことがあったと思うのだが、あれなどは例外中の例外であるらしい。
 
 和船には「雛型」という伝統がある。船大工の皆さんが腕をふるって実際の船を忠実に小型化した模型を神社に奉納したりするのだ。
 そうした伝統のある我がニッポンとしては、和船のプラモ一つ手に入らないこの現状は寂しい限りだ。
 戦国ブームに沸く今ならば、たとえば織田軍の「鉄甲船」なんかが発売されたらそれなりに売れると思うのだが、どうだろうか。あの「鉄甲船」が史料に乏しく、実在性にも疑問符がつくので模型化しにくいということであれば、単に「戦国軍船」という名で安宅船を模型化し、色違いで「織田軍バージョン」を作ればよいと思うのだが……
 週刊「戦国軍船」とか、一つよろしくお願いしますよ!

 後は海洋博物館等ののグッズショップで、和船の模型やペーパークラフトがないかどうか探してみよう。


 当ブログではおりがみのこともたまに記事にしてきた。和船とは全く無関係におりがみの本を調べていたところ、その名もずばり「舟のおりがみ」という本を発見してびっくりした。


●「舟のおりがみ」桃谷好英(誠文堂新光社)
 伝承の「笹舟」からはじまり、「二そう舟」「帆掛け舟」「宝船」や、その他著者が創作した時代も地域も様々な「舟のおりがみ」36種で埋め尽くされた一冊。洋物の帆船や、現代のモーターボートなど、とても幅広く、もちろん「和船」に属するものも多数収録されている。

 残念ながら「戦国軍船」そのものは収録されていなかったが、いくつか和船的なものを折ってみたので紹介してみよう。

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 まずは「カヌー」として収録されているもの。

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 雰囲気的には原始的な「丸木舟」として十分通用するだろう。

 次は「屋形船」。

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 純粋な和船とは言えないが、日本の船にも大きな影響を与えた、中国の帆船「ジャンク」。

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 各所の形状が物凄くリアルな「和船」。

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 最後に伝承おりがみの「宝船」。

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 この「宝船」は、基本になる折り方は一応決まっているのだが、各自の解釈で様々な形状が生まれてくる。伝承おりがみの持つ懐の深さが素晴らしい。

 舟の折り紙は微妙な角度が要求されるので、頑丈な和紙で折ることがお勧めだ。



 和船の模型がなかなか手に入らない私の心も、おりがみで少し癒された気がする(笑)
posted by 九郎 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 紙(カミ) | 更新情報をチェックする
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