数日前のニュースだが、出てくる言葉がない。
この人に対して「冥福を祈る」とか紋切り型の言葉をおくることは、少々ためらわれる。
「本、何度も繰り返して読みました。『電波系』と『赤泥』は、いまでも読み返してます」
もしお会いすることがあったなら、たぶんこの一言だけ伝えて早々に退散しただろう。
だから今は、これだけ書きとめておくことにする。
●「電波系」根本敬 村崎百郎(太田出版)
●「電波兄弟の赤ちゃん泥棒」村崎百郎 木村重樹(河出書房新社)
事件の報道を知ってから数日、少しだけ追記が書けそうだ。
まずは↓のyahoo知恵袋を覗いてみてほしい。http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1027682090
息子が「ドグラ・マグラ」という本を持ってます
表紙のイラストが怪しげです
裏表紙に[これを読む者は一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書。]とあり、あらすじ的なことは書いてありません
どんな内容なのでしょう?
息子は大丈夫でしょうか?
ベストアンサーに思わず笑ってしまった。
その回答だけで十分なはずなのだが、親切な人たちが一々補足しなければならない風潮には寂しさを感じる。
こうした風潮は、『村崎百郎』のリアルが身も蓋もないやり方で葬られたことと、どこかでつながっているような気もする。
今回の事件に何か意味があるとするなら、ここ数年あまりよい活動の場に恵まれていなかった(と私には見える)村崎百郎、被害にあった人の遺した『村崎百郎』というアバターが、再び日の目を見るきっかけになるだろうと言うことぐらいか。
一人の人の死に対して礼を失した表現だと思われるかもしれないが、相手が『村崎百郎』ならば、それは失礼でも何でもないのだ。
むしろ、もっと思い切った表現で笑い飛ばせない自分の器に、少々恥じ入る気分すらある……