
概観ではあるけれども、ここまで地蔵菩薩についてあれこれカタッて来た。
最後に地蔵の起源にさかのぼってみたい。
そもそも「地蔵」と言う言葉は、古代インドの言葉で「クシティガルバ」、大地(クシティ)と子宮(ガルバ)を意味し、大地の徳の神格化であると言われる。
神話の構造では「天空の父神」と「大地の母神」と言う対比がよく見られるが、地蔵菩薩もあるいは「大地の母神」の系譜に連なる神格なのかもしれない。
そのように考えると、これまでに触れてきたお地蔵様の属性の数々が、一つ一つ思い当たる。
お地蔵様の前世は、地獄に落ちた衆生を救うと誓った女性であった。
また「全ての衆生を救わぬうちは成仏しない」という王の誓いは、もう一人の王の「自分は仏になって衆生を救おう」という誓いと対比すると、前者は母性、後者は父性を感じられる。
六道能化で深い地の底の世界、地獄の底まで救いに赴く能力も、元々「大地の母神」であれば当然の能力ではないか。地下の支配者である閻魔大王の正体が地蔵菩薩であると読み替えられたのも、自然な流れに思える。
そしてお地蔵様が最後には子供の守り神として読み替えられたことも…
道端
石造り
童子のような姿
インドで生まれたお地蔵様は、中国を経由し、日本に至り、時代とともに様々に読み替えられつつ、今の姿にたどり着いた。
大地に根をおろした童子のような石仏。
その目線は、犬猫や幼児と同じ高さ。
春には小さな野の花が、お地蔵様を飾る。
万物を生み育てる「大地の母」は、その発祥から遠い距離と時間を経て、この日本の自然の中で、相応しい姿を獲得しているように見える。
これは偶然そうなっただけなのだろうか…
> その目線は、犬猫や幼児と同じ高さ。
> 春には小さな野の花が、お地蔵様を飾る。
こころに響いてくる言葉と、暖かい、春のお地蔵様の絵ですね。
お地蔵様はどうして小さいのだろう?ずっとそう思ってきました。
ありがとうございました。
このブログでは初コメント、やっぱり嬉しいものですね。
これからもよろしくご愛読ください!
こちらこそ、よろしくお願い致します。
新シリーズの「大黒様」も楽しみです。
いつか、桜からあざやかな新緑へ.......
足早に移り往く季節の、ただ中ですね。