たこ焼き機を買った。
この一行に対する反応は、読む人の住む地域によって大きく二つに分かれるだろう。
関西圏以外の人が読むと「へ〜、自分の家で焼くなんて、たこ焼きがすごく好きなんですね。もしかしてたこ焼きマニア?」と思われるだろう。
ところが京阪神を中心とする関西では、たこ焼き機は「一家に一台」が常識なのだ。むしろ、他の地域で「一家に一台」の常識が通用しないことを知って、驚愕したりもする。
たこ焼きと言えば縁日の夜店を連想するのが全国的なイメージだと思うが、関西ではそうした仮設店舗以外でも、常設の専門店が数多く存在する。最近は全国チェーン展開している店もあるので、「町のたこ焼き屋」という概念も、全国的になってきたかもしれない。
それに加えて関西では、外のお店でたこ焼きを買うだけでなく、家でもたまに作ると言う人が非常に多いのだ。
私がどちらに属するかは、長く当ブログを読んでいる人はよくご承知のことと思うのでわざわざ書かない。
私が買ったのは、↓このような感じのモノ。
電熱式で22個いっぺんに焼け、しかも鉄板部分が着脱になっている。これで1480円は安い!
鉄板が着脱できないものなら980円ぐらいからある。何度か780円というのも見たことがある。
ただ、やっぱり後始末を考えると着脱式の方がいいのだが、そうなると2000円越えが相場になってくる。
なんとか着脱式で安いのが無いかと、ホームセンター等に行くたびに探しているうちに、十年以上経ってしまった。前から薄々自覚はしていたのだが、私はもしかして馬鹿なのだろうか(笑)
どちらにしても安い買い物なのだから、さっさと好きな方を買えばよかろうと思われるかもしれない。しかし、鍋やフライパンのような生活必需品とは違って、たこ焼き機などは無いなら無いで不自由のない代物なのだ。たま〜に思い立ってやる趣味のようなものなので、極力無駄遣いは避けたかった。
この十年ほど、何度も着脱式で1980円ぐらいのものをレジに運びそうになってきたが、その度に思い直してそっと陳列棚に戻してきた。途中から意地になって「これだけ何年も粘ったんだから、半端に高いモノは絶対買えない!」と根性が座った。理想のたこ焼き機と出会うことこそが目的になり、完全に探すこと自体が趣味の世界に入っていた。
そして本日、とうとう1480円のモノと出会ってしまったのだ。
この感慨を適切に表現する言葉を、私は持たない。
「もう、ここらでよか……」
西郷どんのように重々しく呟いた私は、その商品をむんずとつかみ、ゆっくりとレジに進んだのだった。
そして、家に帰った。
数週間前の夏祭りの季節を思い出しながら、紅ショウガの効いたたこ焼きを焼いた。
2010年09月05日
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ご無沙汰しております。
拙僧が始めて、「たこ焼き器」を見たのは、仙台市内の小学校に通っていたときのこと、友人の誕生日会でのことでした。今思えば、東北地方で珍しいな、とか思うのですが、その時には、初めて食べるたこ焼きの味に感動していたものです。
なお、その友人一家は、元々大阪の出身だったそうで、それでたこ焼き器を持っていたとのこと。その時は、そんなことまで知る由もなく、親にたこ焼き器をねだりましたが、当時の東北地方では、売ってさえいなかった代物でございました。
「誕生会で」というシチュエーションはよくわかります(笑)
一家に一台たこ焼き機のある地域でも、日常的に作っているわけではなくて、一応「ハレ」の部類に入る食べ物のようです。
けっこう手間がかかるし、ちゃんと作るには技術も必要ですしね。
技術が必要なのに家庭でもなんとか作れてしまうのは、本職のたこ焼き屋さんの手付きを実見する機会が多くて、自然に真似ができるからだと思います。
こういう食べ物文化の地域色は面白いですね。