
はじまりははるか昔、インドに遡る。
インドの大地を荒れ狂う暴風雨、モンスーン。
全てを薙ぎ払い、破壊し尽くす自然の力は神として崇められ、「ルドラ(咆哮する者)」と名付けられた。
ルドラは恐ろしい弓で人々を殺戮する暴悪神であったが、医療などの恩恵をもたらす神でもあったと言う。暴風雨の凄まじい猛威と、過ぎ去ったあとの静寂。モンスーンの持つ破壊の側面と、風雨による恩寵の側面が、神の二つの顔にも反映されているようだ。
ルドラはやがて、「咆哮する者」という恐ろしい名から読み替えられ、新しい名を持つ神に変貌していく。
その神はヒマラヤで瞑想し、巨大な超能力を獲得した修行者の姿でイメージされるようになった。
神の名を「シヴァ(吉祥)」と呼ぶ。