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2010年09月25日

ヒガンバナ覚書

 秋のお彼岸も半ばを過ぎた。
 昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言われる。
 今年の夏は酷暑で、9月に入ってからもずっと夏が続いている感じだったのに、秋分の日を過ぎて、ガクンと一段涼しくなってしまった。
 ただ、例年ならもう咲き誇っているはずのヒガンバナは、私の住む地域ではまだ見かけていない。
 現在の住処は田んぼがほとんど無いエリアなせいもあるだろう。
 数日前に鉄道の車窓から眺めた田園地帯の畔道では、ほんの一箇所か二か所で、朱色の点を見かけた。
 満開は十月に入ってからになりそうだ。
 さて、どのあたりを散策してみようか。

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 毎年、ヒガンバナを見かける度に、不意を突かれたような驚きと、懐かしさと、一種の怪しさを感じる。
 ちょうどお彼岸の時期に咲くせいもあるだろう。
 夏の空気が去ってしまったことを思い知らされるせいもあるだろう。
 何よりも、あの目に飛び込んでくる朱のせいもあるだろう。

 ここ数年、この時期には、花の色によく似た「赤鉛筆」でヒガンバナをスケッチすることにしている。
 2008年
 2009年

 スケッチするために花の構造を詳しく見ていくと、ヒガンバナは茎の上に一つの花が咲いているわけではなく、六つの花がぐるりと一周することで成立していることに気付く。
 特に白いヒガンバナを観察するとよくわかるのだが、細身の百合が背中合わせに六つ並んで一つの花を形成しているように見える。

 六という数字を見ると、すぐに「六道」という言葉が連想される。
 そうか、ヒガンバナというのは、お彼岸に咲く、六つが輪になった花だったのか。
posted by 九郎 at 01:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 季節の便り | 更新情報をチェックする
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