どのくらい好きかと言うと、たとえば今住んでいる部屋の窓から外をのぞくと、隣のビルの屋上に何か植物の葉っぱが見えて、風に揺れているのだが、

その葉っぱを見ていると、なんとなくこんな鉢植えが置いてあるのではないかと、妄想してしまう自分がいる。

それぐらい好きだ。
諸星大二郎の代表作に「妖怪ハンター」シリーズがある。
民俗学の研究者稗田礼二郎が、日本各地でフィールドワークを行う中、数々の怪事件に遭遇する連作短編のシリーズで、当ブログでも何度か紹介してきたことがある。
祭の始まり、祭の終り
六福神
今回紹介するのは、妖怪ハンターシリーズ第一集「海竜祭の夜」の中から、「生命の木」という作品だ。
「生命の木」
前回記事で紹介した隠れキリシタンの神話世界をベースに、舞台を東北の山村に読み替えて、ある殺人事件から壮大な神話体系がこぼれてくる様を描く、諸星作品の真骨頂。
わずか31ページの短編であること、まだデビューから年月の経っていない初期作であることが信じられないくらい濃密な物語だ。
近年「奇談」というタイトルで阿部寛主演の映画が制作され、概ね好評のようなのだが、まだ未見。原作があまりにも素晴らしすぎると、実写化作品を観るのには、自分で高いハードルを設定してしまうのは仕方がない。
おそらく諸星大二郎は、隠れキリシタンの聖書「天地始之事」を貪るように読み込み、その内容に震えたのだと思う。
ローカルを極め尽くしたことで逆に広がる巨大な世界観、隠された信仰の底知れない闇が生み出す強烈な光に打ち震え、そしてその「震え」を自らのペンで紙に叩きつけるようにして出来上がったのがこの作品なのではないだろうか。
因習めいた山村の奇怪な殺人事件が生み出す、まばゆいばかりの聖なる世界。
上掲作品集は現在入手困難なようなので、一応「生命の木」が収録されている本の中から比較的入手しやすいものも紹介しておく。
●「汝、神になれ 鬼になれ (諸星大二郎自選短編集)」(集英社文庫)
ブログ拝読させて頂き、たいへん勉強になりました。私と興味がある分野が重なる部分も多く、今後も時折訪れては拝読させて頂こうと思いました。
どうぞよろしくお願いいたします。
早速のご対応、ありがとうございました。
私の方も、この機会にnoahnoahaさんのブログの記事をいくつか拝見しました。
今後とも、よろしくお願いします。