ここ数年、縁あってHALKO(桑名晴子)さんのライブに足を運んできた。
とある小さな海岸の屋外ステージや、演奏者にほとんど手が届くほどのライブ会場で、年に何度か彼女の歌声を聞いてきた。
ライブのはじまりは、そっと弦を爪弾き、囁きから徐々に発声へ。やがて空気がビリビリ震えるような、豊かな「声の物質化現象」へと。
自分の声が空間にどう響き、聴き手にどう響いているか、彼女はその場の全てを我が物として巻き込むことが出来る。
歌をうたう、音を奏でるという事が、ごく自然に体に組み込まれたような、構えのない自由自在の音遊びを体現している人だ。歌い手としての長いキャリアが確かに彼女に生きている。
先頃、彼女の新しいCD「One」が発売された。
ライブ活動はますます旺盛だ。
今回のCDは、ここ数年の彼女のライブ活動の雰囲気をよく伝える一枚に仕上がっている。よく知られた「桑名晴子」名義の、以前の楽曲とは印象が違うかもしれない。
「神仏与太話」を標榜する当ブログ「縁日草子」的には、三曲目の「イヨマンテ ウポポ」を取り上げておきたい。タイトル通り、アイヌの神に祈る儀式をテーマにした曲で、ライブでもよくうたわれている。
ホイヤアア・・・
ホイヤホ・・・オホホイ・・・オホホイヤ・・・
焚き火の横の語り部のような、何かを思い出すような、何かを呼び出すような静かな出だし。
徐々に激しさを増す発声、鼓動のようなリズム。
アラサアホ ホイヤ・・・
イヤハホ ホイヤ・・・
ホイヤアホ・・・
ホイヤアホ・・・
やがて言霊が宿ったように、大和言葉も飛び出してくる。
ふと、宣る言の葉。
フトノリトゴト。
こういう音、声には、どうしようもなく魂を揺さぶられ、馬鹿みたいに感動してしまうものだ。とくにライブで一緒になって声を出していると。
2006年05月20日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック