遅ればせながら、カテゴリ「地蔵」をカタるにあたって参照した本の中から、入手しやすく読みやすい二点を紹介。
地蔵信仰の諸相について、ひろさちやをはじめ多数の論者がそれぞれの角度からアプローチ。純然たる入門書でありながら、幅広い内容を網羅している。誰にとっても平易で親しみやすい一冊。
日本の地蔵信仰を語る上で重要な「延命地蔵経」(漢文と現代意訳)、「地蔵和讃」、「笠地蔵」等も、他の資料とともに収録されている。
とくに「延命地蔵経」は(和製の偽経とされてはいるが)地蔵菩薩の由来が短く、簡潔に、ファンタジックにまとめられたお経で、いつの日か「絵解き紙芝居」にしてみたいと思わせる内容で、非常に読み応えがあった。
こちらも印度、中国、日本における地蔵信仰の流れを網羅した入門書であるが、やや硬い内容。各種原典を明示して論を進めているので、この本を入り口に各自の興味に従って読書を進めていくことが出来る。こういう確実な内容の本が安価に入手できるのは、私のような独学絵描きとしては本当にありがたい。
同著者は同じ塙新書で「観音信仰」「呪術宗教の世界」なども出しており、「正統」仏教だけでなく土俗・民間信仰の領域まで視野に入っているところが素晴らしい。
私は「おじぞうさま」を考える時、「土俗」は決して無視できないばかりか、むしろ本質に迫る鍵になると思うのだ。
2006年06月04日
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