2006年06月10日

仏教への読み替え4 軍神の系譜

 インド神話の神々が仏教に読み替えられる過程で、仏敵を調伏する「軍神」として採用されるケースは数多い。カテゴリ「大黒」で扱うシヴァ系統の神々も、その強大な力で「軍神」となった。

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【将軍大黒天】(上図右)
 シヴァの化身マハーカーラは、元々軍神的要素を持っていた。仏教では中国風の甲冑を身につけて表現されることもある。左右の手に袋と宝棒を持つ姿は、いわゆる「だいこくさま」と通じる図像だが、関連性については不明。

【韋駄天(いだてん)】(上図左)
 シヴァの息子スカンダは、仏教では俊足の軍神、韋駄天に読み替えられた。スカンダはその少年神のイメージから「サナートクマーラ」と言う異名を持つが、この名は後にもう一度触れることになる。

【毘沙門天(びしゃもんてん)】(上図中央)
 インド神話にクべーラと言う魔王がいる。後にクべーラは大地に埋蔵された財宝を司る神となり、ガネーシャとも通じる太鼓腹の財宝神として信仰されるようになった。
 やがてクべーラは仏教に読み替えられて毘沙門天(多聞天)となった。毘沙門天は四天王の一、北方の守護神である。

 今回描いた毘沙門天は「兜跋毘沙門天(とばつ びしゃもんてん)」と言う様式を参照している。西域風のスマートな甲冑、三叉戟様の武器、足元を「大地女神」に支えられた姿等が特徴の、異様な図像である。京都の東寺に代表的な木像がのこされている。
 ここまでカテゴリ「大黒」を順に読み進めてきた人にはピンと来たかもしれないが、この「兜跋毘沙門天」はかなりシヴァ的な要素が強い。毘沙門天のルーツであるクべーラは直接シヴァとは繋がらないが、神話の構成要素の類似(魔王、女神との関連、財宝神との関連)から似た姿で表現されるようになったのかもしれない。

 毘沙門天は仏教における軍神の中でも特に強力で、軍神のイメージを飲み込み代表されるようになって行く。
posted by 九郎 at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 大黒 | 更新情報をチェックする
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