2006年06月20日

仏教への読み替え5 女神の系譜

 インド神話の個性的な女神達は、その特徴を残しつつ仏教の天部に読み替えられた。日本でも信仰を集める天部の女神達の中から、「大黒」というテーマに関連する三女神を紹介してみよう。

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【荼吉尼天(だきにてん)】(上図右)
 インド神話でマハーカーラの眷属、またはカーリーの侍女と伝えられるダーキニーは、仏教に読み替えられて荼吉尼天となった。シヴァに連なる女神である。
 墓場にたむろし、人間の肝や心臓を貪る鬼女神は、大黒天に化身した大日如来に降伏され、仏教に帰依したと(仏教側からは)説明される。
 恐ろしいルーツそのままに胎蔵曼荼羅最外院でも上図右のごとく、頭蓋骨の杯で血を飲み、人間の手足を喰らう姿で描かれる。

【吉祥天(きちじょうてん)】(上図左)
 インド神話三大神の一、ヴィシュヌの神妃で福徳の女神ラクシュミーは、仏教に読み替えられて吉祥天になった。「きっしょうてん」とも読む。ヴィシュヌは仏教においては影が薄く、吉祥天も毘沙門天の妻神とされることが多い。
 日本では弁才天とともに仏教の女神の代表格であり、同一視されることもある。

【弁才天(べんざいてん)】(上図中央)
 インド神話の河の女神サラスヴァティーは、仏教に読み替えられて弁才天となった。サラスヴァティーは、インド神話三大神の一であるブラフマーが、自身の体の中から作り出した神妃と伝えられる。
 元々が河の女神なので、作物を実らせる豊穣を司る。豊穣の力を基点として、他の女神の功徳も吸収し、財福や技芸の女神へと読み替えられていったと思われる。
 弦楽器を構えた二臂の姿が一般的だが、様々な武器を構えた八臂の軍神としても広く信仰を集めている。


 仏教の女神の中でも代表的な荼吉尼・吉祥・弁才の三女神のルーツを辿ると、それぞれインドの三大神にまで行き着くのは興味深い。
posted by 九郎 at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 大黒 | 更新情報をチェックする
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