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2006年07月03日

泥田

 田植えの季節から一ヶ月あまりが過ぎた。
 うちの近所の水田のいくつかをチェック。田んぼの風景を眺めるための今年の「行き着け」も決まった。苗はしっかりと根を下ろし、水田の生き物達も何処からともなく湧いて来て、賑やかになってきた。
 私が子供の頃から好きだった水田の生き物は、下図の二種。

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 下は言わずと知れたカブトエビ。「生きた化石」のカブトガニとよく似た姿で、カブトエビ自身も数億年の昔から同じような姿で生き抜いてきたという。活発に動き回る生物だが小魚ほど俊敏ではなく、畦道から手を伸ばせばすぐに捕れるので、子供の頃よく捕まえて遊んだ。
 透明のプラスチックケースに入れて眺めると、カブトの下の足が波打つように動いて、元気良く水の中を泳ぎ回るので、見ていて飽きない。

 上はホウネンエビと言う種類で、半透明の姿、飛び出た二つの目、緑色の足がリズミカルに波打ち、天地逆様に泳ぐ姿がなんとも不思議で、なんだか宇宙の生き物のような感じがしていた。

 プラスチックケースに何匹かのカブトエビやホウネンエビ、タニシなどをいれ、田んぼの泥を少しだけもらって沈めて、水草などを入れてみると、ケースの中は小さな世界のようになったのを覚えている。
 小学生当時の私は子供向けの古生物図鑑にハマっていて、その図鑑の最初の方のページの、太古の海の見開き絵みたいな情景が、自分の手元のプラスチックケースに再現されていることが、たまらなく面白かった。

 そう言えば子供の頃、ケースの中のタニシの動きを眺めていて、驚いた記憶がある。
 タニシは水底だけでなく、透明の壁をじわじわと登ったりして、水面にどんどん近づいていく。水面に到達したらどうするのかとどきどきしながら見ていると、なんとそのタニシは、水面を突ききらずに水面の「裏」を、逆様になって浮ぶように歩き始めたのだ!
 単に逆になって浮んでいるのでは無い証拠に、「足」の裏の歩いているときに出る「波模様」がちゃんと動いてじわじわ前進しており、そのままほぼ直進してケースの反対側の壁にちゃんと到達したのだ!


 近所の田んぼでも、子供達が手を伸ばして何かを捕まえている風景をよく目にする。きっとあの子達も大人になってから、その風景を懐かしく思い出したりするのだろう…
posted by 九郎 at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 季節の便り | 更新情報をチェックする
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