民族音楽が好きだ。
子供の頃から浄土真宗のお経に親しんできたせいもあるかもしれない。
意識的に民族音楽を聴き始めたのは、もう十年以上前のこと。家電ショップのワゴンセールで特売CDを眺めていた時に「高砂族の音楽」を手に取った時のことだった。
このCDは「世界民族音楽大集成」という、全100枚に及ぶ膨大なシリーズの中の一枚。内容は台湾高砂族の素晴らしい音楽で、中には首狩りの風習を持っていた一族の現地録音もある。森の中の少数民族の生み出す音は素朴でありながら壮大で、混声の響きは宇宙大に広がっていくかのようだ。
言葉はわからないものの、発声は日本語に近く、メロディーは「私の民族音楽」である浄土真宗のお経とどこか似通っていた。
すっかり気に入ってシリーズの他のCDも探したが、その後さっぱり見つからなかった。近所の図書館の書庫に全部揃っているのを発見し、狂喜乱舞したのはごく最近になってからだ。
私の場合は、たまたま自分の持っている波長と近い「高砂族の音楽」に出くわす幸運に恵まれたが、民族音楽の世界は興味があってもなかなか入りこみにくい分野ではある。
普通は「生の民族音楽」よりも、それを現代風にアレンジしてあったり、現代日本人が演じていたりすると耳に入り易くなる。
本土で沖縄民謡がこれほど理解されたのも、THE BOOMの「島歌」の功績が大きいと思うし、元ちとせの歌声で奄美民謡に対する理解も深まったと思う。
そうした民族音楽の「現代語訳」として私がお勧めしたいのは「芸能山城組」だ。現在でも入手しやすいのは↓この一枚。
●「Symphonic Suite AKIRA」芸能山城組
映画「AKIRA」の音楽として知られている楽曲だが、映画から独立したオリジナルとしても素晴らしい。日本の民謡や声明、純邦楽が、ケチャやガムランなどの様々な民族音楽の世界とミックスされて、懐かしくもあり新しくもある祝祭空間が音で創出されている。
芸能山城組の他の作品は現在入手困難な状況だが、「恐山」や「輪廻交響曲」など、機会があれば必聴!のアルバムは数多い。
民族音楽のコアな世界への入り口として、これ以上無いほどの一枚。
2006年07月21日
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