2011年07月26日

本を買って原発を止めよう

 繰り返しになるが、私はここ二十年来、強硬な反原発の意見を持ってきた。
 しかしその考えは、とくに2000年代に入ってから全く時流に合わなくなってきて、「CO2による地球温暖化説」などと言う単なる仮説の一つが独り歩きし、それが原発推進の理由づけに利用され、あろうことかそうした虚構が「地球環境の保全」の美名のもと蔓延する様を目の当たりにして、ほとんど諦めの境地に達していた。
 90年代頃にはそれでも人に聴かれれば反原発の主張をしていたが、ここ十年ほどは自分で書籍を集めてそれを一人で読むこと以外は何もしていなかった。
 
 と言うのも、広瀬隆をはじめとする反原発の論者の意見に基本的には同意し、国や電力会社の悪辣な原子力政策に反発しながらも、どこかで「まあ、そうは言ってもカタストロフは起こらんように、なんとか辻褄合わせとるんやろ」と、正直たかをくくっていた面もあった。

 原発から発生する放射性廃棄物
 十万人以上にのぼる被曝労働者
 金で貴重な国土と人の心を買い占める悪徳

 ありとあらゆる「毒」で国を汚染しながらも、破局は避けるだけの狡猾さは保持しているはずだと思っていた。
 あるいは、そう思いたかった。


 大間違いだった。


 信じ難いことだが、国も電力会社も、実は「何も考えていなかった」というのが、正解だったのだ。

 3.11以降、私も考えを改めなければならなかった。
 これまで数十冊の本を読み、それぞれの著者の血を吐くような告発を目にしながら、たかをくくって積極的に発言してこなかったことを恥じた。
 幸いにして今の私は、ささやかながら個人運営としてはそれなりの閲覧者数をもつブログを持っている。
 元来は政治的な主張をする場ではないのだが、こと原発に関してだけは、その禁を解かせていただくことにしたのだ。


 とは言え、一介の素人たる私にできることは限られている。
 まずはこれまで読んできた書籍の中から、3.11以降の今こそ読まれべきだと思われるものを紹介してみる。
 福島の事故を受けて復刊しているものもあるが、埋もれてしまっている名著も多い。
 私自身が読んできた中で、何よりも「読んで面白い」本を紹介してみたい。
 ここで「面白い」という言葉を使うことに違和感を持つ人もいるかもしれないが、反原発はこれからもずっと長いスパンで考えなければならない。
 80年代の反原発運動の盛り上がりは十年と続かなかった。
 一時はコーナーも出来ていた書籍群も、90年代半ばには、書店の本棚からほぼ姿を消してしまった。
 そのような書店における敗北を、今回はなんとしても回避しなければならない。

 実際に自分で読んでみて読みごたえと面白さを感じた本をブログで紹介し、それが本の売り上げに結び付き、反原発が商売として成立し、その状態が息長く保持され続ける。
 そういう状況を作るためのほんの一助として、ブックレビューを綴ってみる。


●「原発の闇を暴く」広瀬隆 明石昇二郎(集英社新書)
 強力タッグである。反原発の古つわもの・広瀬隆と、「責任者出てこい!」という切り口で痛快なルポを連発してきた明石昇二郎が、福島原発の事故を受けて責任者どもを刑事告発するに至る筋道を語り尽くす最新刊。
 対談形式なので非常に読みやすいが、読者は皆この本で告発される「事実」の数々に、ハラワタが煮えくりかえる思いをし、何度もページを閉じて一息つきたくなることだろう。
 著者二人の対談が、以下のサイトで読める。
【対談】広瀬隆×明石昇二郎「原発事故がヒドくなったのはコイツのせいだ」

 90年代の「週刊プレイボーイ」は非常に社会派の一面を持っていた。(今でもその片鱗は残っているが、過去を知る者にとってはヌルすぎる)
 グラビアと漫画、非常にくだらない(注:褒め言葉である)娯楽記事の中に、一号に数本は「社会派」記事が掲載されており、そのカオス具合いが面白く、勢いがあった。
 そうした「社会派」記事の中に、私が大好きで掲載を心待ちにしていたシリーズがあった。
 明石昇二郎の「責任者、出て来い!」である。
 中でも「原発銀座」と呼ばれる敦賀の地で、悪性リンパ腫が多発しているのではないかと言う噂の真相をたしかめるために現地に乗り込む企画には、毎回興奮させられた。
 雑誌の発売が待ち遠しくて、明け方のコンビニに走ったりしたものだ。
 あの「週プレ」の取材班が、往年の「電波少年」のアポ無し収録のような体裁をとりながら、「責任者」どもを追い詰めて行く様子にはぞくぞくする様な痛快さがあり、それと同時に「事実」に対する怒りが込み上げてきたものだ。
 明石昇二郎はその後も、雑誌を変えながらも体当たりの取材を元にした記事を書きつづけた。
 そうした記事の多くが、書籍として刊行され、現在でも入手が可能であることは非常に価値がある。


●「敦賀湾原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖」明石昇二郎(技術と人間)
●「責任者、出て来い!」明石昇二郎(毎日新聞社)
●「原発崩壊 増補版-想定されていた福島原発事故」明石昇二郎(金曜日)

 著者が体当たりで取材対象に直接ぶつかって行く姿勢に、元気をもらえる本達だ。


 この「本を買って原発を止めよう」シリーズ、反原発書評は、今後も断続的に続けて行く。
posted by 九郎 at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする
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