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2006年09月11日

友ヶ島年代記4 役行者小角

 やがて神話の時代は去り、歴史年代に入る。
 8世紀の葛城・大峰を舞台に、古代の怪しの世界を代表する、一人のスーパースターが登場する。役行者小角(えんのぎょうじゃおづぬ)その人である。
 神仙道と密教の秘術を体得し、山野を駆け、水上を走り、空を舞い、鬼神を調伏し、日本全国の霊山にその名をとどめる超人・役小角。
 ここ、友ヶ島にも役行者伝説が残っている。

 昔、沖ノ島南西部の蛇ヶ池に一匹の大蛇が棲みつき、夜な夜な底知れぬ穴から這い出しては島中はおろか、加太や淡路島に出没、娘子や牛馬をさらって食らったり、船を壊したり、数々の悪事を重ねていた。
 困り果てた人々は、名高い役行者に大蛇封じを嘆願した。哀れに思った役行者は快く引き受け、単身友ヶ島に渡った。
 行者は最初に神島に上陸し、スクナヒコナの神に祈った。すると池の中から一振りの神剣を授かった。以後、この池は「剣池」と呼ばれることになる。

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 役の行者は孔雀明王の呪法を自在に駆使したと伝えられる。孔雀明王は毒蛇をはじめとする害虫を除く霊験で知られる。大蛇封じのキャラクターとしては、まさにうってつけであると言える。
 神島に祀られるスクナヒコナは医薬・医療の神で、毒蛇封じともイメージが通じる。また、今回役行者を描くにあたり各種図像や彫像を調べてみると、いくつか木の葉の衣をまとっているようなものがあった。

 偶然か必然か、神話のイメージはどこかで微妙につながっていく…
posted by 九郎 at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 友ヶ島 | 更新情報をチェックする
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