役行者と大蛇の闘いが始まる。しかし強力な霊験に加え、神剣を得た行者には、さすがの大蛇も敵わない。観念して己の悪行を悔い、改心を誓った。
行者は罰として牙と爪を剥ぎ取った。
大蛇はこの地に留まって法を守護することを望んだ。行者は大蛇に「深蛇大王(しんじゃだいおう)」と名を贈り、島中央部の湿地帯に封印した。
深蛇大王の鎮まった湿地帯を、以後「深蛇池」と呼ぶようになった。
この深蛇大王なる神名は、仏典の類には通常出てこないが、密教尊の中によく似た「深沙大将(じんじゃたいしょう)」という天部が存在する。おそらくその名前を借りたものだと思われる。
深沙大将は『西遊記』の沙悟浄のモデルと言われ、砂漠を棲家とする水の魔神だ。手には蛇を巻きつけ、七つの髑髏の首飾りをかけ、腰には獣の皮をまとい、膝に象頭の袴を着け、腹部に童子の顔を現した姿で表現される。
とくに金剛峰寺蔵の木像は物凄い迫力で、今回のイラストは何年か前にその木像を見た時の感動を思い出しながら描いた。
2006年09月16日
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