アマテラスの六番目の姫君であるアワシマは、十六の春に住吉明神の后となった。しかし婦人病に罹ったために、堺の七度浜から種々の宝物とともに「うつほ舟」にのせられ、流された。
三月三日に神島に漂着したアワシマは、その寂しさを紛らすために、島で人形を作って一人遊んだ。「雛遊び」の由来である。
アワシマは病を除く願いをこめて人形を流し、婦人病に苦しむ女性を救う誓いを立てたという。

神島から現在の加太に遷座した後も、淡嶋神社は人形供養や針供養などの神事を行う神社として崇敬され、現在でも全国から多くの人形が供養を求めて送られてきている。
これまで紹介してきたものと話の筋は違うけれども、この神話の中でもアワシマは「流された不完全な神」「宝物」「人形」というイメージの断片は共通している。