確定申告完了。
たとえ絵描きのハシクレでも、浮世の務めは果たさねばならぬ。
絵描きなどというものは、だいたいゼニには縁のないものと相場が決まっている。
申告手続きの必要に迫られてごそごそ部屋を整理していると、万札入りの封筒を発見して、思わず
うひゃっほう〜!
と小躍りしてしまった。アホである。
そんな調子であるから、ゼニ勘定には全く疎い。
疎いのだが、とくに出ていくゼニに関して、本能的に感じることがいくつかある。
まず、税金。
もともと納税意識はきわめて低かったが、昨年の3.11以降、日本が基本的に国民の生命と財産を守らない国であることが明らかになって、さらにモチベーションは下がった。
税金の本質は「合法的なみかじめ料」に過ぎないが、見返りのないみかじめ料なら、払う意欲はどんどん減退してくる。
脱税する程のマメさはなく、そもそも所得から引かれる税金など微々たるものなので、申告は還付狙いでごくまっとうに行う。
しかし、年金や健康保険など、名前を偽装した「実質的な税金」はけっこう過重だ。
年金など、ほとんど詐欺であることがはっきりしているのだから質が悪い。
まあ、払ってはいるが、「盗られている」という意識は拭いがたくある。
また、税金ではないけれども「盗られている」という感覚の強いものに、銀行の各種手数料がある。
中でもムカつくのがATMの「払い戻し手数料」だ。
自分のゼニを引き出すのになぜ手数料が必要なのか、今まで一度も納得したことはない。
ATMでの手続き全般に感じることだが、機械の操作までしてやって、窓口業務を減らしてやっているのだから、むしろ
おれに手数料を払え!!
と思っている。
金融機関はゼニを委託されて運用で利益を出し、預金者には利息で一部還元するのが本業のはずだ。
それなのに中小企業への貸し渋りで不況に追い打ちをかけたり、ろくに利息も払わないくせに各種手数料でゼニをせしめたりしながら、内部では高い給料を貰っている姿には反吐が出る。
というか、ATM手数料をセコくかきあつめはじめた時期いうたら、不良債権処理が問題になり始めた時期と一致しとるんとちゃいまっか?
おのれらの杜撰な経営の尻拭いを顧客にまわしたり、税金で補てんさせたりする神経が卑しいんとちゃいまっか?
私は自分がアホな貧乏人であることはよく知っているが、こうした疑問はちゃんと持っている方が正常であると信じている。
合法的なみかじめ料を、好き放題に盗られっぱなしの庶民であっても、せめて反骨精神だけは保っておきましょうね。
手持ちの本の中から、そーゆーイメージトレーニングに適したものをご紹介。
●「土壇場の経済学」青木雄二 宮崎学(幻冬舎アウトロー文庫)
ナニワ金融道の故・青木雄二と、突破者・宮崎学の最強タッグである。
初出は90年代末なので、さすがに取り扱っている事案や法律には時代を感じるが、ゼニに心まで支配されないためのノウハウが、きわめて具体的なテクニックで紹介されている。
この本の精神を自分なりにまとめるなら、
・ゼニで死ぬな! 死ぬぐらいなら踏み倒せ!
・業者とのゼニの貸し借りは経済行為に過ぎない。そこに道義を持ち込む必要は全くない!
こんなところであろうか。
90年代より更に経済状態が悪化した現在、再読する価値のある一冊だ。
●「できるかなV3」西原理恵子(角川文庫)
冒頭は30ページにわたって、現代日本最強の無頼派・サイバラによる非常に悪質な脱税のススメである。「毎日かあさん」とは一味違う極道ぶりが、いかんなく発揮されている。
追徴金1億円をヤクザそのものの手口で値切り倒し、ついに2千数百万まで圧縮することに成功する姿は、笑いを通り越して痛快そのもの。
ここまで国税にケンカを売ったらタダではすまず、この本の一般読者が参考にできる手口は一切無いと断言できるのだが、それを貫徹して面白おかしくマンガに描いてしまう所に、とてつもない凄みを感じる。
数あるサイバラ作品の中でも屈指の出来だと思う。
2012年03月15日
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