
何年か前に沖縄へ行ったとき、住宅街のすぐ近くの木立の中で、不思議な拝所を見かけた。陽光をさえぎる暗いガジュマルの茂みに向かって、コンクリートで低いひな壇が設けてあり、その上にいくつかの石が並べて立ててあった。
調べてみると、それは「火の神(ヒヌカン)」と言うもので、本土で言うと「かまど神」に相当するらしい。言われてみれば、並べてある石の列は「炎」の形を模しているようにも見えた。
とくに有名な場所と言うわけでもなかったが、私は「沖縄」というといつもこの風景を思い出す。
今回の絵は、見てきた「火の神」の風景そのものではないけれども、私の中のイメージを集約して描いてみた一枚。いつものCGではなく、F8キャンバスにアクリル絵の具で描いたものを、デジカメで撮影→レタッチ処理してみた。
異界への扉と言いましょうか。
色彩のゆらぎに炎を感じました。
「異界への扉」というのは、本当にそうです!
私が沖縄の拝所で感じたのもまさにそれでした。
祠があったり、石や香炉などが置かれている場合もありますが、その「モノ」自体を拝むのではなくて、「モノ」の向こうの空間を参拝している感じがしました。