2006年12月09日

奇妙な記憶1

 ふと幼い頃を思い出す。
 脳裏に蘇る情景の中には、かなり奇妙な代物も存在する。
長らく記憶の表層に上ってこなかったのに、一度思い出してみると「あれは本当にあったことなのか?」と、気になって仕方がなくなってくる。
 そんないくつかの記憶がある。

 幼児の頃、幼稚園への通園風景だ。
 地区の児童を何人か、引率の大人が二人ほどついて、園に送り届けている。
 幼児集団の引率は難しい。一人一人が我侭な王子様、お姫様で、まだ群れの秩序が身に付いていない。「みんなと一緒に歩く」ということがけっこう難しかったりするので、しばしば阿鼻叫喚の修羅場になる。
 そこで、秘密兵器が登場する。
 縄跳びの縄をいくつも編んで、持ち手の部分をたくさん出して作った引率器具だ。
 持ち手の部分に幼児を一人ずつつかまらせて、ちょうど「電車ごっこ」のような雰囲気で引っ張って行くわけだ。うまく子供たちをおだてながら、楽しい雰囲気で騙し騙し園に送り届ける。

kk-01.jpg

 思い出してみると、なんとも珍妙な風景だ。どこまで本当にあったことなのかは、私自身にも定かではない。
 しかし、川沿いの土手を、ロープで繋がりながらみんなと並んで行進した風景は、夢のように淡く記憶の底に残っている。
 土手から見下ろす稲刈りを終えた田んぼには、ビニールシートが風にパタパタなびいている、そんな細部の情景まで含めて…

 それからはるかに時は流れて、私は自分の記憶の中の「電車ごっこ」の通園とよく似た形式の通園風景を、TV画面の中に発見して「アッ!」と叫ぶことになった。
 それは1997年、ある事件が元で緊張感に包まれた、神戸の街の通園風景の1コマだった。
 奇妙な記憶と不気味な事件の、偶然の一致。
posted by 九郎 at 10:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 原風景 | 更新情報をチェックする
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