今年はマジンガーZとデビルマンの40周年ということで、永井豪先生の二つの作品が復活している。
当ブログでも度々取り上げてきた全人類必読の超傑作「デビルマン」も、「改訂版」として全四巻が刊行済みなのだが、う〜ん、こちらはちょっとお勧めできない。
敬愛してやまない永井豪先生には大変申し訳ないのだが、この作品ばかりは手を入れる度にバランスが悪くなっていくように感じる。
作品というものは時として、作家自身にすらうかつに手を出せない、美しい結晶体のようになるもののようだ。
絵描き目線で言えば、技術的に未熟(と本人には思える)な過去の絵を直したくなる心情は痛いほどわかるのだが……
後年の描き足しが少ないバージョンをお勧めしたいのだが、今現在、どちらも新本では手に入りにくくなっているようだ。
マジンガ―Zに関して言えば、元々永井豪先生のマンガ版が必ずしも「全力投球」の作品ではなかったこともあり、TVアニメ版がベストだったと思う。
今回復活しているのは90年代初頭にに執筆された未完の大作「マジンサーガ」で、現在刊行中。十二月には全六巻完結予定ということだ。
こちらも大幅な加筆がされているけれども、元々「デビルマン」のような、危ういバランスの上に成立した脆く美しい結晶体のように繊細な作品ではなく、永井豪先生自身の絵柄も90年代以降はさほど大きく変わってはいないので、違和感無く楽しめる。
とくに戦闘シーンでは、見たところおそらく故・石川賢のスタッフが参加しているのではないかと思う。「ゲッターロボ」シリーズ等で練り上げられた描写力がよく活かされていると感じた。
内容は近未来の火星を舞台に、「マジンガ―Z」「グレートマジンガ―」「グレンダイザ―」に登場するキャラクター達が少しずつ役柄を変えながら登場するだけでなく、永井豪の過去作品の中から様々なイメージが投影されている。
70年代の「マジンガ―Z」とはまったく別作品だが、さしずめ「スーパー豪ワールド大戦」と言った趣のある大活劇で、一読の価値はある。
長らく未完だったのだが、今回最終巻には200ページ加筆するということだ。
その分量だとせいぜい1エピソードくらいしか入らないだろうから、今回も本格的な完結は望めないかもしれない。
どこまでお話が進行するか、静かに見守りたいと思う。

2012年09月29日
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