「そうだ、京都に行こう」
そんなどこかで聞いたようなフレーズが頭に浮かんだ。
今日、ぽっかり予定が空いたので、どうしようかと考えていた時のことだ。
電車内に掲示されていたポスターで、とある展示のことを知っていた。
龍谷ミュージアム:特別展「“絵解き”ってなぁに?」
龍谷ミュージアムにはまだ行ったことがなかったのだが、以前から興味深い展示をやっているなと思っていた。
ただ、私が現在住む地域から京都までは、けっこうビミョーな距離がある。
旅行と言うほどには離れていないが、ちょっとお出かけと言うには遠い気がして、なかなか実際に出かけるには至らなかった。
しかし、今回の特別展はテーマが「絵解き」だ。
日本の中世から近世にかけて、各種曼荼羅の入った厨子を背負い、辻や市でその曼荼羅を広げて功徳を語り、札などを売ったりする「絵解き」と呼ばれる人々がいた。
彼らは旅芸人であり、遊行乞食でもあった。
アマチュアながら、現代の絵解きを志す私としては、これは行かねばならない(笑)
西本願寺から道路をはさんだ向かい側にある龍谷ミュージアムは、こじんまりとしているが良い雰囲気の会場だった。
中世から近世にかけて「絵解き」に使われた様々な絵図の現物が展示されており、中でも圧巻は一辺約2mの当麻曼荼羅の、黒々と鈍い光沢を放つ版木だった。
となりには実際に刷りあげたものも展示されており、白描画ながら極楽浄土の在り様を鮮烈に描写してあった。
館内のシアターでは、「絵解き」を実演してみた映像が流されており、ショップでは解説の充実した図録も販売されていた。これはもちろん買い。
ついで参りになるが、せっかくだから東西両本願寺も参拝。
京都に行くと、どうしても「せっかくだから」とあちこち行きたくなるものだが、あまり欲張るとどこも中途半端になってしまうので、ねらいはしぼった方が良い。
今回は、ミュージアムと両本願寺。
お西さんでは参拝すると、ちょうど結婚式をやっていたところで、外国人観光客の皆さんが喜んでいた。売店で「御文章」のCD購入し、続いてお東さんへ。
一応説明しておくと、JR京都駅の真北にあるのが「お東さん」の東本願寺、そこからしばらく西に歩いた所にあるのが「お西さん」の西本願寺だ。
両本願寺はもちろん元は一つだったのだが、戦国時代の石山合戦をきっかけとして、二つに分かれた。
数年前から石山合戦にハマっている私は、どうしてもそれに関連した資料を探してしまう。
石山合戦を考える上では、当時の門主・顕如上人と、その息子・教如上人の関係が重要になってくるのだが、教如上人については東本願寺の方に行かなければ得られるものは少ない。
大規模な改修工事中の東本願寺を参拝後、売店をのぞくと、私の望みにぴったりの本があった。
●「教如上人と東本願寺創立-本願寺の東西分派」東本願寺 教学研究所編
石山合戦当時の本願寺の系譜、時代背景、寺内町の状況などについて、極めてわかり易くまとめてある。
やっぱり、たまには両本願寺に行っとかないとね。
いつになるかわからないが、自分なりの石山合戦の絵解きを完成させるために、じわじわと1mmずつでも私は這って行かなければならない。
付記しておくと、お東さんの方は入口付近に、はっきりと「脱原発」を表明した声明文が掲示してあった。
ことこの点にかんしては、お西さんの動きはやや鈍いと言わざるを得ない……
2012年11月03日
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