2012年12月16日

負けっぱなしのダンディズム

 衆院選が終わった。
 午後八時の段階の開票速報で、自民の歴史的圧勝が決定済み。
 3.11以降、基本的には政治ネタはやらないことにしていた当ブログで、例外的に扱ってきた「反原発」という視点から見るならば、全く、ぐうの音も出ないほどの敗北である。
 どこの政党も選挙公約を観る限りは、濃度の差こそあれ「脱原発」という印象を与えるものになっており、原発の是非は主要な争点になっていなかったという感がある。
 きちんと重要政策が議論されず、盛り上がりを欠いて投票率が約10パーセントも下がったこの程度の選挙戦で、「脱原発」の民意がなかったことにされてしまうのは全く納得いかない。
 納得はいかないけれども、まずはこの度の「完敗」は受け止めなければならない。

 以下に、今後の主要各政党が(選挙公約がどうあれ)どのような姿勢をとるかを考えてみる。
 あくまで、私的なまとめである。

●自民党
 今後はまず間違いなく、原発推進、再稼働の方針をとる。
 元々日本の原子力政策を強烈に推進してきた張本人であり、電力業界との癒着も激しい。
 個々の議員の中には「脱原発」「反原発」も散見されるが、現在の安倍・石破のツートップが強烈な推進派なので、いずれ露骨に原発再稼働を進めていくことになるだろう。
 今回、絶対的な多数を握ったので、連立を組むであろう公明(一応脱原発)に対し、配慮する必要性は薄くなる。
 とくに警戒すべきは、来年の参院選後である。

●公明
 一応、脱原発政策を掲げているが、自民と連立を組む限り、今後進められるであろう原発推進政策は、「追認」という形にならざるを得ず、今回の自民絶対多数の選挙結果では「歯止め」の役割もほぼ期待できそうにない。
 もし連立が解消されれば、それ以降は一定の役割を期待できる。
 憲法改正にからみ、自民に使い捨てにされる前に目をさましましょうね。

●維新
 原発については二転三転しており、結局、選挙戦を通じて党としての態度をはっきりさせられなかった。
 東京側代表の石原慎太郎が「脱原発」を否定しており、自民との連立にすら含みを持たせている現状では、大阪側がいくら議員の頭数を揃えて中身の薄い「脱原発」の主張を行った所で、かの御仁に対してなんの歯止めにもならないだろう。
 早晩、大阪と東京で分裂するのではないかと思うが、分裂したところで大阪側の代表・橋下の脱原発は、今一つ二つ三つ信用できない。
 一番まずいのはその時々で主張する政策がコロコロ変わることで、これでは民主同様、真面目に検討するだけ時間の無駄である。

●民主
 一応「脱原発」を掲げてはいたが、トップの野田が、どう考えてもまやかしの福島原発「事故収束宣言」をし、大飯原発(←直下に活断層の疑い)の再稼働、大間原発の建設再開を許してしまったことから判断すると、脱原発は単なるポーズに過ぎないのではないかという疑問を持たざるを得ない。
 他に、前回選挙時の主要マニフェストをあっさり変更した「前科」もあり、この党に何か期待しても無駄である。「原発に関しては自民よりマシ」という程度の存在意義しかない。

●みんな
 渡辺代表の脱原発の意志は、一応本物と見る。
 今後も安易な妥協はしないことを願う。

●未来
 小沢一郎の脱原発の意志も、一応本物と見る。というか、もうそれ以外に生き延びる道は無いだろう。
 嘉田代表は今夏の大飯再稼働騒ぎ以来、ちょっとまだ勉強不足。実用化済みの安価な代替エネルギーについて、しっかり理論武装すべし。

●共産
 はっきりと脱原発である。

●社民
 はっきりと脱原発である。

 こうしてまとめてみると「脱原発」派のなんと弱弱しく頼りないことか。
 議員はあてにできないので、今後の数年間は個々人がしっかりと情報収集し、意見表明していくしかない。


 脱原発デモがかつてない盛り上がりを見せたこの一年だったが、その締めくくりの時期の選挙では大変残念な結果になってしまった。
 各地のデモに参加していた、とくに年若い皆さんの落胆はいかばかりのものであろうか。
 しかしながら、日本の反原発運動は、これまでもずっと「負けっぱなし」だったのである。
 チェルノブイリ事故が世界を震撼させた80年代ですら、国内の反原発運動は「一定の広がり」と言う程度で終息し、日本の原発は増え続け、結局3.11という最大の敗北を招いてしまったのである。
 
 だから今回、派手に負けたからと言って一々落胆することはない。
 3.11直後の黒々とした絶望感に比べれば、一定数の「脱原発」の民意が確認されている今は、はるかに状況は良いとも言える。
 脱原発デモの矛先としては、「胡散臭い脱原発派の野田」より、「絵に描いたような原発推進派の安倍」の方が構図として分かりやすいというメリットもある。打たれ弱くてお調子者、そのくせ自分の意見に固執しやすい傾向をもつ安倍は、原発で激しい批判にさらされると、必ず不用意な発言をする。

 原発が争点化しなかった選挙で結果が出なかったことなど、道端でちょっと石ころにつまずいた程度のことだ。
 こんなものは、単なる過程に過ぎないのである。

 ここは一つ、日本で一番イカしたちっちゃいおっさん、池乃めだか師匠のダンディズムに倣わなければならない。

「よっしゃ、今日はこのぐらいにしといたるわ!」

 
posted by 九郎 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする
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