3.11以降の反原発は、楽しいものでなければならない。
無理のないものでなければならない。
決して忘れず、諦めないものでなければならない。
ファッションでかまわない。
商売でかまわない。
冗談交じりでかまわない。
一枚岩でなくともかまわない。
ただ一点「原発NO」で一致していればいい。
当たり前の生活スタイルとして放射能に対する知識を得て、
原発にNOと言わなければならない。
私は絵描きなので「運動」や「組織」への適性は一片たりともない。
だから上記の内容はなんらかの集団行動を想定したものではなく、80年代から原発の危険性について知りながら、実際に日本で事故が起こってしまうまで何もできなかった自分への戒めとして書いたものだった。
日々の暮らしを送りながら無理なくできることとして、一応200〜300の閲覧者数を持つ自分のブログで、原発に対する考え方や参考文献を、それなりに楽しめる形で綴っていきたいという独白だった。
ところが2012年に入り、興味深い脱原発運動が出現した。
現在も継続中の、首都圏「金曜官邸前抗議」である。
こんなに自由でしたたかな抗議活動が可能であるとは夢にも思わず、私は瞠目しながらネット上の情報を追い続けた。
やがてこの「金曜官邸前抗議」は全国の電力会社前に広がり、季節は巡って冬になっても、寒空の下、継続されている。
つい先頃、この抗議行動の当事者の手で、詳細な記録をまとめた本が刊行された。
本を読んで初めて知る内容も多く、多くの疑問点が解消された。
●「金曜官邸前抗議 デモの声が政治を変える」野間易通(河出書房新社)
脱原発派にとっては大変残念な結果に終わった衆院選だが、このブログにも書き綴ってきた通り、私は「状況はさほど悪くない」と捉えている。
おそらく首都圏で抗議行動を取り仕切っている皆さんもそうであろうし、全国で声を上げ、歩きはじめている「バラバラな個人」の脱原発派の皆さんも、そうであろう。
みんなしたたかで、粘り強いのだ。
特定の団体に属していなくても、自分の頭でものを考え、判断し、それぞれのやり方で戦える個人が、少なくとも数十万人の単位で存在するのだ。
衆院選から数日経ち、落ち着いて戦況分析してみれば、今後成立するであろう安倍自民政権は、批判の矛先としてはけっこうやり易い相手だ。
これまでは野田民主政権が標的だった。
民主党は、まともな脱原発派から見れば非常に胡散臭い形であったにしろ、世間的には一応「脱原発」の範疇に入っていたはずだ。
だからこれまでの「金曜官邸前抗議」も、事情を知らない人から見れば、同じ脱原発派内の路線争いのように見えていたかもしれず、やや分かりにくい構図ではあった。
今度の安倍政権は、はっきりと「原発推進」である。
抗議の相手としては、こちらの方がすっきりと分かり易い構図になる。
抗議行動を続けてきた皆さんも、今頃は手ぐすねを引いて、次の策を練っていることだろう。
抗議行動は、今後間違いなく面白くなるのだ(笑)