2007年01月20日

天満大自在天神

 天神様の絵を描こうと資料をあたっているうちに、色々興味深いことに気付いた。
 天神様の図像資料としては「北野天神縁起絵巻」が有名だ。この絵巻、前半は菅公の生涯から始まり、後半は六道巡りのダイナミックな構成になっている。図像的に素晴らしいのはもちろんだが、ストーリーもかなり面白い。

 前半の菅公の生涯の部分に、大宰府に配流された菅公が、山に登って天に無実を祈るシーンがある。

dk-24.jpg

 七日七夜の祈りの末、捧げた祭文は天に届き、菅公は「あな恐ろし、天満大自在天神とぞ成らせ給ひける」と伝えられている。この時点で「あら人神」となった菅公は、その後間もなくこの世を去り、人としての生涯を終えたという。
 そして死後、宮中に怪事を引き起こす霊的存在として、再登場することになる。

 天満大自在天神という名称は「天神祭」で有名な大阪天満宮と直接つながるが、「てんまだいじざいてんじん」と読んだ場合、私は別の神を思い出さざるを得ない。
 「天満」は「てんま」=「天魔」で、「大自在天」と続けば、これはもう第六天魔王ではないのか?
 また天神様と言えば牛とも縁が深く、お社には必ず神牛像がある。こうした点も、シヴァ神の流れを汲む神々と共通している。

 さらに「北野天神縁起絵巻」では、菅公は死後「太政威徳天(たいせいいとくてん)」となって、多数の雷神を率いたという。
 「太政威徳天」とよく似た名前の仏尊に「大威徳明王」があるが、この明王は死の神ヤマを制する力を持つと言われ、水牛にまたがった六面六臂六足の恐ろしい姿で描かれる。

 このあたり、まだ私の中でも整理はついていないので、今は「大黒にまつわる覚書」としてメモを残すにとどめておく。いずれ独立したカテゴリでカタることになるかもしれない…

 「北野天神縁起絵巻」後半の六道巡りの部分は、「日蔵夢記」という文書を下敷きにしているらしい。異界探訪記としてかなり興味深い内容で、以下の書籍に現代語訳が収録されている。安価な本なので、興味のある人は参照してください。



●「天神さまの起源」
posted by 九郎 at 22:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 大黒 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中々面白い内容でした。絵も素晴らしいし
ところで貴方の説明に面白い事を付け加えようと思います。
仰せの通り、菅原道真こと天満天神には大自在天神と太政大威徳天神と言う名前があります。
大自在天神はシヴァを連想させます。大威徳即ち大威徳明王は6面6臂6足ですね。
所でシヴァの一族に6面の神様がいるのをご存知ですか?
スカンダです。仏教では韋駄天・倶摩羅天と呼ばれています。カルティケーヤで調べると良いと思います。
そして大威徳明王はチベット仏教では別名バイラヴァと呼ばれています。そうシヴァの悪神の面として大黒天と相対する畏怖神です。
しかもスカンダはクマラ・バイラヴァとも呼ばれているのです。
もう一つ、明治以前に天神と呼ばれた存在がもう一人います。祇園天神=牛頭天王です。大威徳明王もシヴァも牛に乗っています。天満天神もそうです。そして牛に象徴される牛頭天王・・・
この円環をどう見ます?
Posted by 菊池彦 at 2007年06月15日 11:35
菊池彦さん、コメントありがとうございます。

こちらのブログではカテゴリ「大黒」で、シヴァにまつわる神々について絵と文章で眺めています。韋駄天/カルティケーヤ/サナート・クマラについても少し触れていますが、これだけで1カテゴリにしたいほど奥が深いテーマですね。

「牛」のイメージを持つ様々な神仏は、発祥は異なるはずなのですが、どこか神話の構造上の共通点が在るのかもしれません。それが何なのかは、残念ながらまだわかりませんが、今後も「図像を自分で描いてみる」ことを手がかりに考えて行きたいと思っています。
Posted by 九郎 at 2007年06月16日 09:51
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