私がデジカメを使い始めたのは確か2002年頃のことだった。
求めやすい価格帯のコンパクトデジカメの画素数が200万を超え、スナップや資料写真に使うには十分実用的になり、企業でも仕事に使う写真がデジタルに移行した時期だったと記憶している。
1代目のデジカメはCANONのIXYシリーズの中から、当時としてはそこそこ高画質だった300万画素超で、動画も撮れるモデルのものを使い始めた。
メモリーカードはCFカードで、256MBのものが6000円くらいしたのではないかと思うが、それを二枚用意して使いまわしていた。
データの保存はCD-Rに書き込むのが主流で、当時は今ほどPCが普及していなかったので、街の写真屋さんがプリントと同時にデータの書き込みサービスも行っていた。
その数年後、ノートPCが十万円を切る顛末と同期しながら、「街の写真屋さん」というカテゴリ自体がほぼ消滅してしまうことを、まだ多くの人は認識していなかったはずだ。
というか2000年代初頭頃でも、十年以内にフィルムによるアナログ写真が、趣味の領域以外から払底することなど、予測できた人はいなかっただろう。
おそらく同じような業界の再編は、これからも様々に進行していく。
次に来るのはどう考えても「出版」だろう。
ともかく私の場合、写真の用途は旅の記録と絵を描く時の資料で、アナログ写真に対してまったく思い入れがなかったこともあり、スムーズにデジタルに移行できた。
一代目のIXYは不具合もなく6年ほど働いてくれた。
カメラ本体はまだ壊れる気配がなかったのだが、6年も経つとバッテリーがかなりヘタってきた。
バッテリーだけを買い換えるとかなり高額で、その代金を払うくらいなら性能がむちゃくちゃに向上した新製品を買うメリットの方が大きく思えたので、2008年頃二代目に買い換えた。
慣れ親しんだIXYシリーズは6年の間に飛躍的に高画質・コンパクトの度合いを強めており、買い替えの時にも当然ながら第一候補だったのだが、結局購入したのはPowerShotシリーズだった。
理由としては、初代と同じCANONの製品なので、とりあえずオートで撮った場合の風合いが共通しているであろうこと、700万画素で当時そこそこ高画質だったこと、電源が単三電池二本であることが挙げられる。
とくに電源が専用バッテリーではなく電池であることは、私の購入動機としては非常に大きかった。
普段はエネループ等に代表される充電式の電池を使用し、急にバッテリー切れが起こった場合でも街中ならば単三電池はどこでも即座に入手可能。
この手軽さを経験してしまうと専用バッテリー使用のデジカメにはもう戻れないと強く感じてしまう。
単三電池二本を収納するため、どうしてもコンパクトさでは他のシリーズや他社の同等製品に劣るけれども、それでもアナログカメラ時代を知っている者にとっては「これでももう十分小さいじゃん!」で済むレベルだったのだ。
今でも家電量販店で最新のIXYシリーズを興味本位で手にとってみることがあるが、カメラの場合はあまりに小型軽量過ぎると「シャッターを押す」という所作が難しくなるように感じる。
PowerShotシリーズは電池を二本収納する構造上、どうしても右手の握る部分に「膨らみ」ができるのだが、それがあることで逆に持ちやすさを生んでいると思う。
メモリーカードはこの二代目からSDカードになり、価格は飛躍的にダウンし、容量は飛躍的にアップした。
2008年当時でも2GBのSDカードが千円を切っており、その頃から私はカード容量がいっぱいになった場合、PC経由で写真を保存した後、データ消去して繰り返し使用するのではなく、気軽に新しくカードを買い足すようになっていた。
もちろん写真データはPCやDVDにも保存するのだが、撮ったままで容量いっぱいになったSDカードも、そのままバックアップとして貯めておくようになり、その体制は今も継続している。
そして2011年、二代目デジカメのPowerShotの画像に、微妙に白い小さな影のようなものが映り込むようになった。
デジカメの不具合としてはよくある症状の一つのようで、最近の家電製品の例に漏れず「修理するなら新品を買ったほうがお得」という状態だった。
購入から4年近くが経過しており、コンパクトデジカメの性能はそれくらいの期間が経つと一段階も二段階も向上している。
昭和生まれの感覚から言えば、ものはもう少し大事に扱い、機械製品なら十年は使うものだという意識が抜き難く存在するのだが、こういう感覚が今の世と合わないことは十分承知している。
仕方なく、三代目購入。
今現在使用しているのもPowerShotシリーズである。
購入して一年半、既に製品としては古くなりつつあるが、一応参考にamazonのリンクも貼っておく。
●Canon デジタルカメラ PowerShot A1200
この価格で1200万画素。やや手ブレに弱い印象があるが、基本性能は申し分ない。
三代目を購入して以降もSDカードは安くなり続けた。
昨年くらいから4GBが800円を切るようになり、そして最近、行きつけの量販店で8GBのものが600円を切っているのを発見した……
おそらく三代目の寿命が尽きるであろう2〜3年後、十年以上愛用してきた「コンパクトデジカメ」というカテゴリがどのような有り様になっているかは、もう想像もつかない。
今ですら、スマホとデジタル一眼の狭間でやや中途半端な位置付けになりつつあるような気がする。
方向性が見えてくるあたりまで、我が愛用の三代目が寿命を保ってくれることを祈る他ない。
2013年02月18日
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