
清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟で(?)PCを購入してみたものの、最初の一年間はCGには使用しなかった。写真整理とワープロ、そして主にインターネットに使った。はじめからCGをやらなかったのは、犬としての私が具えた動物的なカンのせいだった。カンは私にこう言った。
「まだやるな」
当時は自分でも不可解だったが、理屈は後から付いてくる。
ともかく私は関心のある分野の各種Webサイトや掲示板の類をじっくり見て廻ることから始めた。慣れてくると徐々に参加してみたりもした。
何か物事を習得しようとする時の私なりの方法論として「まずその分野の雑誌を続けて読んでみる」というものがある。ある分野の雑多な情報を「わかる、わからない」は別として、一通り目を通していく。まず情報のシャワーを浴び尽くしてみるのだ。すると数ヵ月後には、その分野についての基本的な語彙が揃い、一応資料に取り組めるようになってくる。
インターネットはこうした私の方法論のうち、「雑誌を続けて読んでみる」という部分を十分代替してくれるものになってくれた。しかも基本的に無料で!
掲示板の類で交流することも大変勉強になった。世間的には悪名高い巨大掲示板にも参加してみたが、意外なほど素晴らしい出会いがあったりもした。もちろん嫌な目にあったことが皆無とは言わない。しかし、そのようなマイナスを補って余りある利点がネットの世界には広がっていた。
やたらに吠え掛かったりしない限り、犬は巡回先で遊んでもらったり餌をもらったりできるもの。私も何箇所かの巡回先で親切なアドバイスをもらったり、善意に助けられたりして、貴重な経験を積むことができた。
情報収集・交流の経験を積み、喜怒哀楽を味わう内に、私は徐々にネットでの作法を学んでいった。ネットに最低限必要なPCスキル、何がOKで何が不味いか、ネットで自分を表現するとはどういうことか、その魅力、怖さ等等……
一年間に及ぶ放し飼い武者修行の結果、自然な成り行きで私はCGの世界に入ることができ、すぐに作品をネットにアップし始められるようになっていた。
拙僧も、ブログを始める場合には、やはり半年くらいただROMしていました。眞鍋かをりさんとか、ヤクルト古田監督とかですね。それまでも、あちこちの紀要や雑誌に駄文を投稿していましたが、駄文を手元で用意しつつ、ブログを始める日を待っていました。始めてからは、すぐに慣れました。文章を書くのにストレスを感じないことが大きかったですね。
ネットはやっぱり実際体験してみるのが一番ですね。実は私もあちこちのブログを読み始めて半年ぐらいで、自分のを開設しました。
件の巨大掲示板も、一般には怖いイメージがあると思いますけど、一部「祭会場」以外の大半は、趣味の合うもの同士がまったり交流する場です。世話好きの人がいたりして、色々相談に乗ってくれたりします。「雑多な下町」と表現すればわかりやすいかもしれません。