2月15日は「涅槃会(ねはんえ)」で、お釈迦様が入滅されたと伝えられている日。もちろん史実そのものではないのだろうけど、ともかく中国・日本ではそのように伝えられてきた。
私はこの行事自体にはさほど馴染みはないのだが、お釈迦様の入滅時を描いた「仏涅槃図」は、昔から好きだった。仏像彫刻が好きだった祖父の資料の中に、確かこの図のカラー版があって、幼い頃の私は興味を惹かれたのだ。
中央に瞑目したお釈迦様が横たわっており、その周囲には多数の仏弟子達が嘆き悲しみ、さらにその周りには動物達までが悲嘆にくれている。
悲しい場面のはずなのに色彩は鮮やかで、明るく楽しげな雰囲気すら漂っている不思議な図像だった。
アジアにおいては、横たわったお釈迦様の「涅槃像」は、坐像や立像以上にポピュラーだ。よく巨大な黄金色の涅槃像が、旅行パンフレット等でも紹介されている。腕を枕に横たわるお釈迦様の姿はまるでゆったりくつろいでいるようで、死の暗い影はあまり感じられない。
神話の類型の一つとして「この世の始まりに生まれた巨人が死に、その死体が世界となり、生物が生じた」と言うパターンがある。アジアで広く涅槃像が愛されるのも、もしかしたら「横たわる巨人から世界が生まれた」と言う原型が、人々の心の片隅に残存しているからかもしれない。
そう言えば今日は涅槃会だったと気付いた時、同時にふとある情景が頭をよぎった。私は山が好きでよく歩くのだが、山中でよく見かけるような「倒木」のイメージが浮かんだのだ。
木が倒れ、風雨に晒されるうちに朽ちて、そこに新しく草木が芽吹いている。
そんな情景に何度となく山で出会った。
2007年02月15日
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今日は釈尊涅槃会です(平成19年度版)
Excerpt: 今日は、涅槃会でございます。それに因んで、道元禅師の説法を紹介しています。
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Tracked: 2007-02-16 07:52