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2007年03月30日

金烏玉兎にまつわる物語2

 金烏玉兎にまつわる物語の中での安倍晴明は、やがて神話的な存在へと昇華して行き、時代を超えて活躍するようになる。

 実在の安倍晴明が活躍した時代の百数十年後のこと、宮中を惑わす一人の妖女が現われた。絶世の美女、玉藻前(たまものまえ)である。
 彼女を寵愛する天皇が重い病に犯されたため、その原因の特定に晴明が呼び寄せられ、占いが行われた。結果、玉藻前は中国でいくつもの国を滅ぼしてきた魔性の妖狐、金毛九尾であることが判明した。
 各国の王の心を捉え、蕩かせ、腐らせて、国を滅ぼす大妖怪である。

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 正体の露見した玉藻前は直ちに狐の姿になって逃走したが、ついに那須野の原で討ち取られた。流れ出た血は凝って石となり、毒気を吐き出す殺生石となったという。


 この「殺生石」の物語にはいくつかのバージョンがあるが、金烏玉兎の由来書の一つによれば、金毛九尾を調伏したのは安倍晴明であるという設定になっている。
 晴明と言えば、霊狐・葛の葉を母に持つ。ここでは狐の霊力を受け継いだ主人公が、同じく狐である妖怪を退治する構造になっている。
 主人公が調伏されるべき適役の性質を併せ持った「あいのこ」であるという設定は、現在でも多くの作品世界で踏襲されている定型である。
posted by 九郎 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 金烏玉兎 | 更新情報をチェックする
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