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2013年12月23日

先走る才能に追い付くということ

 ちょっとだけ、「目利き」には自信がある。
 骨董の鑑定などの本来の意味での「目利き」ではない。
 まだあまり世に知られていない時期から目をつけ、ひそかに応援してきたマニアックな人物や作品が、だんだん日の目を見て行く様を我がことのように楽しんだ経験がけっこうあるのだ。

 そんな中の一人に、冠徹弥(かんむり てつや)がいる。
 名前だけでピンとくる人は、まだまだ少ないだろうから、略歴を紹介してみよう。
 1971年生まれ、京都出身。
 1991年にバンド「So What?」でメジャーデビュー。このデビューにはたしか聖飢魔Uが関わっていたはずで、信者だった私は当時から冠の存在は知っていたことになる。
 2003年にはSo What?解散。 
 2000年代半ばごろからちょっと自虐的な「ヘビメタあるある」を、超絶ハイトーンシャウトにのせて歌いあげるキャラクターがハマりはじめ、演劇などにも活動の幅を広げていく。
 私はこの時期からYouTube等で再発見。「ああ、まだ頑張ってたんだなあ」という感慨とともに、あまりのおもしろさに密かに応援しはじめていた
 そして2010年、島田紳助に見出されて「行列のできる法律相談所」に出演。一気に知名度を上げ、今に至る。
 マンガ「北斗の拳」に出てくるラオウの鉄兜をかぶったおもろいヘビメタあんちゃんの姿が記憶に残っている人も多いことだろう。
 
 今年10月、ニューアルバムが発売されたという。

●「帰ってきたヘビーメタル」THE 冠

 発売とともに公式ブログで、、気合の入った自己レビューが発表された。
 詳しくはリンク先を読んで欲しいのだが、レビュー通りの「最高傑作」であると思う。
 興味のある人は、以下に紹介する動画を参照!
 新アルバムの聴きどころが、面白映像とともに余さず収録された出血大サービスの動画だ。



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 廃墟の夕日を背にした主人公のジャケットを見て、TV版「あしたのジョー2」後半のOPが元ネタだなと、すぐにわかる人間は即買いすべきアルバムである。
 80年代のTVアニメやプロレス、MTVに親しんできた過去を持つおバカなアラフォー世代なら、かならずや満足できる一枚に仕上がっている。
 長らくマニアックな「ヘビメタあるある」で楽しませてもらってきたのだが、ここにきて冠徹弥は完全に一皮むけた。
 マニアだけに通じる閉ざされたネタの世界から、アラフォー男子感涙の「アラフォーメタル」にシフトすることで、作品の普遍性が飛躍的に増したのだ。
 相変わらず安定のハイトーンシャウトにのせて歌われるのは、同世代の誰もが日々感じる怒りや切なさで、その組み合わせに全く違和感がない。
 冠徹弥はデビュー当時から才気溢れるメタルボーカリストだった。
 しかし、どこかそのあふれる才能だけが先走っているようで、観ていて非常にもどかしかったのだが、長い長い雌伏を経て、ついに歌うべきモチーフや世界観にきちんと出会ったのかもしれない。
 マンガ「バキ」のセリフ回しを借りるなら、「溢れる才能に冠徹弥がついに追いついた!」ということになると思う。

 いや、まだまだこんなもんではない。
 冠徹弥にはまだこの先があるはずで、新作「帰ってきたヘビーメタル」は、その輝ける序章になるに違いないのだ。
 そこそこ年くってもまったく衰えない超絶シャウト!
 右肩上がりで今現在が全盛期!
 すべての同世代のバカを背負って、突っ走れ!
posted by 九郎 at 09:27| Comment(0) | TrackBack(0) | カミノオトズレ | 更新情報をチェックする
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