1月9〜11日にかけて、「十日戎」の祭礼があった。
近所のゑびす神社では、結構盛大にお祭りが行われるので楽しみにしている。
露店の立ち並んだ一画を夜中にそぞろ歩きし、気に行った店に飛び込んで一杯やるのは格別だ。
今の住居に移ってから数年、毎年のように足を運び、「縁日の風景」についてあれこれ妄想している。
【過去記事】
祭礼の夜
祭礼の夜2
祭礼の夜3
祭礼の夜4
ここ数年、一気に進んだ祭の露店からのヤクザ排除の影響も心配していたのだが、「ちょっと店が減ったかな?」というくらいで、風景に大きな変化は見られなかった。
ただ、いわゆるテキ屋さん風のお店が多少減った分を、日本各地のB級グルメやエスニック料理の露店で埋めている印象はあった。
私は個人的に「合法的なシノギくらいは問題にしない方が治安にとってはプラスである」と考えているので、テキ屋さんにはこれからも変わらず商売を続けて欲しいと思っている。
縁日の風景は毎年変わらず繰り返されているように感じるけれども、そこには世相がじわりじわりと反映されて、ゆっくりではあるけれども変化していく。
目立ちやすいところでは、籤引や射的の景品になっているオモチャやお面のキャラクターは、子供番組の切り替わりとともにガラッと入れ替わる。
籤引のお店などは、昔から続く縁日の露店の胡散臭さを今に伝える大切なパートだ。
幼い頃からこういう「ちょっとしたインチキ」に触れておくことは、子供の成長に是非とも必要なことだと思う。
私も幼い頃から露店や駄菓子屋のおっちゃんおばちゃんたちと散々バトルを繰り広げてきたおかげで免疫がついて、神仏やオカルト、精神世界などに興味を持ちながらも、悪徳商法やカルト宗教にハマらずに済んできたような気がするのだ。
今年はお面屋の店先で、仮面ライダーやプリキュアが並ぶ中に、「進撃の巨人」のお面を見かけて笑ってしまった。
客層はどのへんに設定しているのだろうか?
あの漫画、周りが「面白い、面白い」と言うのでものすごく期待して読んでみたら、まあ面白いのだけど、さほどでもなく感じて以来、続きを読んでいないなあ……
何年かしてほとぼりが冷めたらもう一度再読してみよう。
縁日の期間中、昼間通りかかったとき、ちょっと面白いおじさんを見かけた。
ボロボロのギターをかき鳴らしながら、なにごとか唱え続けているおじさん。
最初は「流しかな? 今時珍しい……」と思っていたのだが、近づいてみるとどうやらキリスト教の布教をやっているようなのだ。
佇まいといい、歌唱法やギターの構えといい、まるで中世の琵琶法師が蘇ったかのようだった。
まるで宗教は違うのだが、こんなおじさんを飲み込んでもびくともしない、十日戎の猥雑さは今年も格別だった。
2014年01月15日
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