減量を始めてから、日常的に体重計に乗るようになった。
こまめにチェックしてみると、体重というものは短時間でもかなり変動するということがわかる。
1日のうちでも1キロ前後は変わるし、数日から一週間のスパンで言えば、2キロぐらいは普通に増減する。
私の場合は曜日によって運動量や食事内容が違うせいもあり、「太る曜日」と「痩せる曜日」がかなり明確に区別される。
だから一回ずつの計測結果に一喜一憂する必要はなく、決まった曜日の決まった時間を指標にしておくと、自分の体重が今現在、増加・停滞・減少のうちの、どの過程にあるのか把握しやすくなる。
細かく日常的に計測する意味はどこにあるのかと言えば、個別の食事内容が体重にどのように反映されるかということを読み解くヒントになるのだ。
前回の記事にも書いたが、私の減量前の食事内容は、コメのご飯が中心だった。
高カロリーで脂質の多い、いかにも太りそうなメニューは、昔からさほど好きではなかった。
子供の頃は肉が食えなかったこともあり、一般的にみれば低カロリー傾向の食の好みだったと思う。
体重増加のタイプとしては、一気にどかっと太ったわけではなく、1年1キロに満たない微増傾向が二十年近く続いた結果の増加だった。
そこから分析して「炭水化物を意識的に減らす」という手法を選択した。
元々主食の割合が高めだったので、減らせるのはそこだけだったのだ。
昔から「食」に対してはあまりこだわりがなく、空腹が満たされればそれで良かったのだが、コメのご飯だけは大好きだった。
ご飯にあう簡単なおかずがあれば満足なので、好きに食べると毎食、食堂の「朝食メニュー」のようになってしまう。
こうした食の好みは生来のもので、人格とともに容易には変わらないものだと思いこんでいたのだが、実際にご飯を減らしてみると別に辛くも何ともなかった。
酒を飲むときに炭水化物無しにしてみても、無いなら無いで問題なく食事を楽しめることがわかった。
強固な「ご飯真理教信者」であった私にとって、これは大きな発見だった。
今でもご飯は大好きで、食べるとおいしいと思うが、「是非とも無くてはならない」という思い入れは消えてしまった。
むしろ「炭水化物を減らせばそれだけ体重も減るらしい」という、自分自身を実験台にした計測結果が、ゲーム的に面白くなってきた。
少なくとも私個人に関して言えば、カロリーより炭水化物の摂取量の方が体重の増減要因として大きいのではないか?
そう考えると、元来低カロリーであっさり好みだった私の体重が長らく微増傾向で推移してきたこと、主食を減らすよう心がけるだけでかなり体重が減ってきたことの理屈は通ってくる。
減量開始から半年ほど経ち、食事内容と体重の増減の因果関係が自分なりに理解できてきた頃、書店に並んだ以下の本のタイトルに視線が吸い寄せられた。
●「炭水化物が人類を滅ぼす」夏井 睦(光文社新書)
かなり大仰な書名だが、内容の、とくに前半部分については非常に論理的で納得できるものだった。
私が自分の体感で確認してきた「炭水化物と体重の関係」は、より正確には「糖質と体重の関係」であり、自分なりに試してきた「主食を減らす減量法」が、本書で推奨される「糖質制限ダイエット」という手法を、大雑把になぞったものになっていることがわかった。
この本では、私もやってきた「毎食の炭水化物を意識的に減らす」というレベルからはじまり、それをはるかに超えて「糖質摂取自体を0に近づける」という、過激な手法が紹介されている。
こうした一種の「極論」には、当然ながら数々の反論もなされ、議論が誘発されているようだ。
私個人に関して言えば、自分の体感ともよく合致した内容なので、さほど違和感は無い。
「半年から1年ほどの期間で無理なく減量する」という目的に限れば、かなり容易で実行しやすい手法ではないかと思う。
とくに「糖尿病対策としての糖質制限」という考え方は注目に値する。
血糖値を下げるには、血糖値を上げる食べ物を減らせば良いという発想は、目から鱗というか、言われてみればごく当たり前の話だ。
糖質には砂糖を使った菓子などの「わかりやすく甘いもの」だけでなく、ご飯など体内で速やかに糖に変化して血糖値を上げる炭水化物もある。
通常の食事の中で大きな割合を占める炭水化物を減らせば、血糖値も自然に下がる。
ところが、糖尿病治療のスタンダードは現状では「カロリー制限食と投薬」になっており、その「カロリー制限食」とは「炭水化物を中心にしたいわゆる粗食」で、これは血糖値を直接下げるものではない。
確かにちょっと不思議な気がする。
この本で紹介されている「糖質制限」は、増えてしまった体重を何はともあれ減らしたり、手っ取り早く血糖値を下げたりということに関して、絶大な効果を発揮することは間違いなさそうだ。
ただ、様々な体質や年齢層の人々が、長期的に糖質制限を行った場合どんな統計が出るかということについては、まだ未知数の部分も残っていると思う。
様々な部分で議論はあれども、一読に値する本である。
2014年01月21日
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