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2014年02月01日

香具師と神輿の奇妙な言説

 どこかの選挙の話題が、前評判ほどの盛り上がりは感じられないままに、ニュースで断続的に流れる今日この頃である。
 稀代の香具師が、これまた稀代の神輿を担いだにしては、今ひとつ、ふたつ、みっつ。
 いや、今よっつぐらいか……
 それもこれも、香具師と神輿コンビの掲げる「脱原発」が、どうにも付け焼刃で、もどかしいばかりなのだから仕方がない。
 なぜこうなってしまうのか?
 
 私が原発論議を眺める場合、見るべき価値があるかどうかの判断基準にしているのが、代替エネルギーの問題をいかに述べているかだ。
 原発に賛成であっても反対であっても、筋道として駄目なものは駄目なのだ。

 大前提として、原発を日本の電源の中心であったかのように扱っている論者は、その時点で失格である。
 日本の発電は一貫して火力が中心であり、原子力が基幹を担った事実は過去に一度もない。
 日本の電力のうち、「最大に見積もっても三分の一を担った時期もあった」という程度なのだ。
 原発は出力の小回りが利かず、メンテナンスに長期間がかかる稼働率の極めて低い施設なので、必ず火力その他の電源による十分なバックアップを必要とする。
 原発は、通常運転であっても「稼働しなくても問題ない程度の他の電源を必要とする」のである。
 3.11以降、日本の原発がほぼ停止しているにもかかわらず、一度も電力不足が起こっていないのはそのせいである。 
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 次に「代替には自然エネルギーを」などと持ち出す論者も、その時点で失格である。
 エコロジー趣味の人がもてはやしがちな太陽光や風力は、発電コストの面で高くつきすぎ、その問題がここ十年、二十年で解決される見通しも全くない。
 地熱や水力も含め、いわゆる「自然エネルギー」に分類される発電法は、大規模に開発すると必ず自然破壊を伴うという欠点もある。
 自然エネルギーは、現状では家庭や地域など、ごく小規模なものを補助的に使用するくらいが、もっとも相応しいのだ。
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 結論を言えば、「火力で十分」なのである。
 このように書くと「電気代が上がったらどうするんだ?」という突っ込みが飛んできそうだが、電力会社の詭弁を真に受けてはいけない。
 原発停止後、電気料金が上がったのは「動かせない原発を抱えた電力会社が、その設備を維持したまま火力の稼働を増やした」からだ。
 これは単に電力会社の経営問題であって、原子力に比較して火力がコスト高であるという事実はない。
 そもそも原発には膨大な税金が投入されており、その上3.11後は事故処理や保障のため、東電支援は天井知らずになっている。
 もし国策として再稼働0の方向性が決定されると、電力会社の保有する原子力関連施設は、即座に不良資産と化し、経営は破綻する。
 電力会社が再稼働にこだわり続けるのもまた、経営問題に過ぎないのである。
 今後、廃炉や廃棄物処理にさらに天文学的な血税が投入されるのは確実で、電気代で取られなくてもどのみち税金で盗られるのである。
 盗られる身銭を少しでも減らすためには、浪費の穴を一刻も早くふさがねばならない。
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 日本や世界のまっとうな技術者の皆さんのまっとうな努力により、火力は凄まじい進化を遂げた。
 大規模発電でも家庭用の小規模発電でも、発電時に発生する熱エネルギーも同時利用することにより、エネルギー効率は飛躍的にアップする。
 要する燃料は削減し、得られるエネルギーは増大するということは、電力会社が原発再稼働の口実として振りかざす「燃料費の増大」を、あっさり否定することができるということだ。
 しかも環境面の基準もきちんとクリアーできている。
 そんな数々の新技術が、すでに実用化済みなのだ。
 待望の燃料電池も、そろそろ実用化といってよい段階に入ってきた。
 そもそも、電力消費地から遠く離れた場所で大規模発電するという供給体制自体が、時代遅れなのだ。
 もっと小規模な発電施設を消費地の近くに設置し、排熱も同時利用するのがベストで、それは既存の電力会社でなくとも十分可能だ。
 3.11位以降、電力会社自らが保身のためにばらまいた「電力不足デマ」により、企業等の自家発電設備は格段に普及した。
 毎年膨大に垂れ流される原子力関連予算のうち、ほんの僅かでもこうした新技術の普及に充てれば、さらに簡単に問題は解決する。
 困るのは原発を抱えこみ、既に「詰み」になっている電力会社だけだ。
 投了が遅れれば、それだけ国民が払わなければならない無駄金が増えるのである。
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 ……という程度の考察は、香具師と神輿コンビについている優秀なブレーンの皆さんの名を見る限り、みんな承知しているはずなのだ。
 それなのに、当のコンビの発言はと言えば、「代案は出さない!」とか「再生可能エネルギーで」とか、寝言のようなことをのたまっている。

 もうそろそろ、まともな議論を始めませんか?

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posted by 九郎 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする
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