中世陰陽師の百科全書「金烏玉兎」には、独自の創世神話が語られている。主に占術の内容を記述した本なので、神話を語る文章そのものの分量は少なく、記述も簡潔なのだが、当ブログではこれに焦点をあてて絵解きを試みたい。
「世界が始まる前」の状態をどのように描くかという部分には、様々な創世神話の特徴が出るので興味深い。「金烏玉兎」ではその様子を、天地未分の鶏の卵のような丸い状態であったと説く。
さらにその状態を、仏教でいう胎児の初期段階の言葉を借りて「最初の伽羅藍(かららん)」と表現する。擬人的に捉えているのは、この直後の世界が生じる描写に繋がる。
次の段階として、広大な天と地が一気に展開される様子が描かれる。ここでは「天は円形、地は方形」として捉えられている。
この「天は円形、地は方形」というイメージはアジアに広く存在するようで、仏教のマンダラの円と正方形の組み合わせや、日本の前方後円墳にも似ている。
このように展開された広大な天地に、一人の巨人が鎮座する。
「金烏玉兎」の主宰神とも言えるこの神の名は……
2007年04月27日
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