特に目的を持たずに百均やホームセンターによく行く。
様々な素材や工具をぼんやり眺めるともなく眺めていると、ふいに霊感のようなものが訪れて、工作のアイデアが浮かぶことがある。
以前、プラスティック植木鉢が並ぶコーナーで、商品棚と二重写しになって兜や甲冑が並んでいるのが見えたことがあった(笑)
その時の「幻視」が元で、プラ鉢鎧兜なるものをでっち上げたこともある。
数ヵ月前、百均の調理器具コーナーのステンレスボールや落し蓋の並ぶ一画で、久々に「幻視」が訪れた。
ギラリと金属光沢のある穴の空いた落し蓋を中心に、「ドブロ」と呼ばれるギターの一種の姿が二重写しになって見えたのだ。
ドブロギターというのは、ボディの一部または全部が金属でできており、音の増幅される仕組みが内蔵されたギターのことで、ブルースのスライド奏法等でよく使用される。
前にネットだったか書籍だったかで分解した様子の図を見たことがあって、そのパーツの記憶と目の前のステンレスボールや落し蓋が結び付いたのだろう。
「このボールとフタをウクレレキットにぶちこんだら、ドブロウクレレになるんじゃね?」
ひとたび霊感が訪れてしまえば、ソワソワして作らずにはおれなくなるのが私の習性である。
手持ちの作りかけのウクレレを、急遽ステンレスボールと落し蓋装着タイプに改造してみたのが、以下の作品。
ウクレレのボディにステンレスボールがすっぽりはまる直径の穴を開け、埋め込んだあとに落し蓋をビス止めしている。
パッと見ではけっこうドブロ風。
こちらから自己申告しないと、百均の調理器具使用だとは気づかれない(笑)
途中まで作っていたボディを流用したので、サウンドホールの無い方にボールを埋め込む穴を開けた。だから裏面には本来のサウンドホールが開いており、内蔵したステンレスボールが少し覗ける。
今回は試験的に安く入手したウクレレ用のギアペグを使ってみた。
ステンレスボールと落し蓋の「なんちゃって増幅機」で少しでも音を反響させるため、硬めの弦でテンションを高めようという目論見だ。
結果としては、まずまず成功。
ウクレレ用のナイロン弦の音に加え、金属的な音の増幅があって、なかなか面白い音色が出るようになった。
弦高が高めなので、それこそドブロ風にオープンCかGにしてスライド奏法をやってみても面白い。
昔は造形的な関心が主で、気に入ったルックスのものができれば満足だったのだが、手作り楽器歴10年を超えたあたりから「どうせ作るなら少しでも面白い音色のものを」という欲が出てきた。
怒濤の手作り弦楽器シリーズ、これにて一段落!
2014年12月16日
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