もう一ヶ月前になってしまったが、文学フリマ大阪に参加してきた件を記事にしておかなければ。
文学フリマというイベントの詳細は、公式サイト参照。
一応文章表現がメインの同人誌即売会だが、扱うネタの制限は極めて緩く、出店側が「これが文学だ」と信ずるならば、けっこうなんでもありに近いようだ。
同人誌即売イベントでは漫画/コミックが主流で、中でもメジャー作品を元ネタにした「二次創作」と呼ばれるジャンルが大半を占めている。
私なりの理解では、文学フリマはそうした二次創作コミック主流の即売会では埋もれ、こぼれ落ちがちな創作活動を掬い上げる試みの一つではないかと思っている。
私の同人誌制作歴はかなり長く、もう四半世紀を超えつつあるけれども、いままで「即売会」形式のイベントとは縁がなかった。
今こうして神仏与太話ブログで書き綴っているような内容を、以前は同人誌中心でやっていたのだが、二次創作コミック主流の即売会には馴染まないだろうなと初めから諦めていたのだ。
数十部単位でコピー手製本の冊子を作り、関係者に配布したり、厳選したフリマ会場に並べるのが相応だと考え、実際そのようにしてきた。
ブログを始めてからはこちらがメインになって、紙の本の制作ペースは落ちていた。
自分の主な興味の対象には、世間的な需要は少ないだろうという自覚があるので、どうしても読者の限定される紙の本より、ワード検索でたどり着いてもらいやすいネットの方に重心が移ってくる。
しかし同時に、ネットでの表現の限界というものも、感じてはいた。
炎上避けや、個人特定避け、その他様々な理由で、踏み込んだ内容が書けないケースが意外と多いのだ。
そうなると、再び紙の本を作ってみたくなってくる。
今回の文学フリマ大阪開催は、私のそんな気分とタイミングにぴったり合っていたのだ。
折よく、学生時代に所属していたサークルの後輩の皆さんが、出店するらしい。
何しろ同人誌即売会は足を運ぶこと自体が初めて。
勉強のため、便乗して本を置かせてもらうことにした。
けっこう年齢差があるので、年寄りが邪魔しないよう遠慮しながら……
紙の本にしたいネタなら色々ある。
そろそろ10年になろうとするブログの中で、上記のような理由から内容的に「寸止め」になっているものは多いし、いまだに記事としてアップせず温存しているネタは「ネットで広く公開」に馴染まず、どちらかというと紙の本向けであるとも言える。
あれこれ迷う中から、今回は以下の二冊を制作することにした。
●「図工室の鉄砲合戦」
特設ブログ放課後達人倶楽部で公開中の児童文学作品。
個人的には、久々に「完全燃焼」の感覚が味わえた、現時点の自己ベスト作である。
角川つばさ文庫の新人賞、二次選考通過作品。
ブログではカラーイラストを添えて公開中だが、紙の本にするために約40点の線画をモノクロ印刷向けに描き直し、文章にも少々加筆。
A5サイズ84ページ、コピー印刷手製本。
(ポップによる紹介)
「小学校で銃撃戦?! 地味でイケてないメガネ男子、一世一代の大勝負!!」
●「怪しき夢路 〜UGLY DREAMER〜」
カテゴリ夢で順次公開中の内容を、先取りして一冊にまとめたもの。
四半世紀に及ぶ夢記録の中から、厳選した怪夢39点に、奇ッ怪イラスト75点を添付。
夢だけに、ネット公開せず紙の本限定のネタも多い。
A5サイズ60ページ、コピー印刷手製本。
原価割れしないよう、またなるべく釣り銭が煩雑にならないよう、どちらも定価300円に設定。
とにかく「読んでもらう」のが目的なので、値段は高すぎても安すぎてもいけない。
儲けは期待しない方が良いけれども、原価割れで「無料配布」に近い状態で受け取ってもらっても、まず読んではもらえない。
続けることが負担にならないよう、また、自分で作品の価値を卑下しないよう、原価+αくらいの値段設定にはした方が良い。
少しでも興味をもって立ち止まってもらえたら、とにかく積極的に話す。
内容はブログでも公開中であることを明らかにし、購入に至らない人にもブログ「縁日草子」や、フリーマーケットでの屋号「縁日屋」の宣伝チラシを一枚でも多く手渡す。
……等々、同人誌即売会は未経験ながら、以上のようなフリーマーケットで学んだ心得は、文学フリマ当日も役立ってくれた。
イベント自体、物凄く楽しかった。
間借りさせていただいたサークルの後輩の皆さん、参加ブースの中で「これは」と感じた皆さんと交流できたのが何よりも良かったし、本も渡すべき人には渡ったと思う。
次回は是非、フルスペックの縁日屋を出店し、絵解き説教など披露してみたいと思う。
2015年10月23日
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