本当は昨日が満月なのだが、昨夜は雨が降っていた。
今夜は晴れ渡り、ほぼ真ん丸のお月さまなので、これで十分。
十月の満月である。
毎年この時期になると、もう二十年以上前になってしまったあるお祭りのことを思い返す。
カテゴリどんとで紹介してきた「月の祭」だ。
あの祭のことはいまだに消化しきれておらず、ずっと考え続けている。
たぶんまだ書き漏らしていたと思うのだが、このお祭会場になった小さなビーチは、和歌浦にある。
和歌浦は古来知られた景勝地で、狭いエリアの中に数限りなく見所が詰め込まれている。
その中の一つ、私が好きなスポットに「蓬莱岩」という場所がある。


小さなビーチへと続く遊歩道の一画に、奇岩が海へと突き出している。
岩の上には小松が生え、中央部には自然のトンネルが貫通している。
この岩場からは、どんとの遺灰の一部が海へと流されている。
そして2001年に行われたどんとの追悼ライブの翌日、あるフシギがあったとされている。
トンネルからのぞくと、向こう側に「月の祭」の会場になったビーチの傍らに立つ、古い小さな灯台が見える。

ぽっかり予定が空いた日、私は何度か、ウクレレを片手にふらりと蓬莱岩に行った。

どんとの「波」を口ずさみながら、今でも考え続けている。