予想通り、参院選は与党の勝利に終わった。
与党に加え、改憲を掲げる議席数を合わせると「改憲発議」が可能となる3分の2を越えたということで、報道はおおはしゃぎである。
改憲を争点として報道しなかったくせに、結果が出るとこのはしゃぎよう。
しかも前日の選挙当日には、安倍の顔写真がデカデカと載った自民党の広告を掲載していた全国紙が多数あるという。
新聞の講読者は完全に舐められている。
舐められているにも関わらず、単なる習慣として購読を続ける層が一定数ある。
現在の新聞報道の惨状は、こうした層にも責任の一端がある。
改憲議論から徹底的に逃げまくった安倍晋三も、結果が出たら半笑いで改憲を口にする。
こいつのやり口の薄汚さは今に始まったことではない。
おそらく地元長州の吉田松陰あたりから学んで、「目的のためなら手段を選ばず」を信条としているのだろう。
何故か吉田松陰は持ち上げられることが多いが、私には昔から「テロを煽るカルト教祖」に見えて仕方がない。
民進党の岡田代表は、結果が出ても他人事のようだった。
本人のキャラクターなのだろうが、育ちがいいというか、煮えきらないというか、やりようによっては勝てた選挙をグダグダにした責任が自分にあるということが、いまだに分かっていないようだ。
喧嘩相手の安倍は「自分がやってほしくないこと」を全く隠せないタイプで、実は恐れていることほどヒステリックにこき下ろす傾向が見てとれる。
だから安倍がキャンキャン罵っている方向こそ必勝の戦術だったのに、岡田は批判されるとすぐトーンダウンしてしまう人の良さがある。
こういう甘さはリーダーとしては全く不適格としか言いようがない。
喧嘩は何よりもまず勝たなければならず、勝つためには身内の雑音も腕力でねじ伏せなければならない。
庶民というものは「喧嘩ができる人間かどうか」ということは、敏感に感じとる。
その感覚は多くの場合、真っ当な政策論争よりも優先されてしまうものだ。
民進党はこれから議論されるであろう改憲テーマで、早晩分裂するだろう。
半端な議席数で路線対立し、膠着されるよりは、むしろその方が良いかもしれない。
それでもいくつか見るべき点はあった。
沖縄では与党の議席が消滅し、現職の大臣が落選した。
言うまでもなく、基地の問題だ。
沖縄と言えば、自民党比例区で今井絵理子が当選したが、以前の杉村太蔵センセーみたいになおバカ議員のポジションにされてしまいそうで、ちょっと気の毒なのである。
まあ、自業自得。
秋田を除く東北五県と新潟の一人区では野党が勝った。
福島の原発事故が要因のひとつであることは間違いないだろう。
大分でも野党が勝ち、愛媛では野党が猛追した。
鹿児島で行われた注目の同日知事選では、脱原発派の新人が大勝した。
鹿児島知事選ははっきりと川内原発再稼働の問題があるだろうし、保守の強い四国九州の中で大分と愛媛で野党が強さを見せたことには、伊方原発再稼働の問題も一つの要因になっているのではないだろうか。
どちらも作ったこと自体が異常な狂気の原発である。
いずれも目の前に差し迫った危機のある地域で、野党側が結果を出したのだ。
なんだかんだ言いながら、与党が勝った地域というのは、まだ絶望や危機感が足りなかったということだと思う。
改憲については、実を言えば私はそれほど心配していない。
もともと「内容次第」というスタンスであるし、自民党の掲げる、近代憲法の体をなしていない「草案」が、そのまま発議されることはあり得ないと思っている。
さすがに公明党はあの草案には乗れないだろうし、まともに国民的な議論に耐えうるだけの内容になっていない。
できるとしたら公明党の掲げる「加憲」に上乗せして「緊急事態条項」を押し込むことで、これは厳重に注意しなければならない。
心配なのは、どう考えても失敗が明らかなアベノミクスが今後も続くことだ。
というか、手詰まりじゃないと思ってるのって、安倍本人だけじゃねーの?
破綻が明らかになってくる前にまた逆ギレ解散しそうで、ちょっとキモいのである。
2016年07月11日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック