高さ16センチほどで、正面から見る細身だが、長大な尻尾が再現されているので、側面から見るとかなりボリュームがある。
前回の記事でも述べた通り、形状自体は素晴らしい。
劇中のあのゴジラそのものだ。
にもかかわらず、このフィギュアの第一印象は「おもちゃっぽい」だ。
正真正銘のソフビおもちゃに対して「おもちゃっぽい」などと文句をつけるのは言いがかりも甚だしいのだが、形状の素晴らしさに対して、「色」でかなり損をしていると思う。
成型色は黒に近いグレーで、胸周辺や尻尾の先端に少々オレンジレッドでスミ入れがしてあり、顔や背びれ、手足に必要最小限の彩色がしてある。
値段から考えると仕方がないとは言え、この手彩色が少なすぎるのだ。
オレンジレッドのスミ入れを増やすだけでも劇中のイメージに大幅に近づきそうなので、製品+αの簡単仕上げならそれでも十分だろう。
私の場合は、黒っぽい成型色のソフビのツヤが、どう見てもソフビにしか見えない半端な光沢なのが気になって仕方がない。
フィギュアに手を出したそもそもの動機が「このシン・ゴジラを心行くまで塗ってみたい」というものだったので、やはりここは全面塗り替えを敢行することにする。
腕や股関節のパーツのつなぎ目も少し気になる。
プラモならエポキシパテ等で埋めただろうけれども、ブランクが長いのでソフビの扱いがよくわからない。
あまりこだわりすぎても完成しなくなるので、今回は塗装のみでどこまでできるかに限定する。
塗装後、下手に可動させて剥げないよう、手足や尻尾のパーツ接合部分は瞬間接着剤で固定ポーズにする。
リペイントにあたって注意が必要なのは、ソフビ素材に通常のプラモ用塗料は使えないことだ。
塗料の種類によっては「いつまでたっても乾かないベタベタした物体」になり果ててしまうそうだ。
今回は、最初にソフビ専用塗料「Vカラー」のブライトレッドを、缶スプレータイプのもので全体に吹き付けてみた。
買ったままの状態だと黒っぽい成型色が災いしてモールドが浅く感じられていたのだが、こうしてみるとあらためて形状の良さがわかってくる。
Vカラーの塗膜の上からは、通常のプラモ用塗料も使えるようだ。
私は最近、模型を塗るのに絵画用のアクリルガッシュを使うのがお気に入りだ。
ここからは、ガッシュのドライブラシ塗装に入る。
基本イメージは「映画の忠実な再現」というよりは、以前の記事で掲載したスケッチの雰囲気を元にする。
今回の映画で印象的だった「抑えきれないマグマ」のような質感を強調した塗りにしたいのだ。
(つづく)