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2016年11月27日

「当てもん」の達人1

 私がその少年と出会ったのは、小学五年生の新学期のことだった。
 同じクラスになり、たまたま同じ「算数がかり」になったことから、友だちになった。
 彼は小学生離れした体格で、小柄な私が並ぶと言葉の上だけでなく本当に「頭一つ分」くらい大きく、体重は倍くらいありそうに思えた。
 よく目立つ少年だったので存在は知っていたが、それまで同じクラスになったことはなく、ほぼ初対面のようなものだったはずだ。
 まだ時代は少子化が進む前のことである。
 私が当時通っていた小学校は一学年に五クラスくらいあり、同学年の中でも「知らない子」はけっこうたくさんいたのだ。
 私は子供の頃から孤独癖があったのでさほど友人は多くなかったが、彼とは5〜6年生の二年間、かなり親しく遊びまわっていた。
 彼のキャラクターは強烈で、今でも記憶に焼き付いている。
 以前、彼をモデルにしたキャラクターの登場する物語を書いたこともあって、現在ネット公開中である。

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 図工室の鉄砲合戦


 主人公の工作マニアのメガネ男子にはもちろん私自身が投影されているが、それでもシンクロ率70パーセントと言ったところだ。
 しかしこの物語に登場する「バンブー」という超大型少年は、かつての友人である彼とシンクロ率90パーセント以上で、私の中ではほぼ本人と言ってよい。
 よってこの記事の中での彼の仮名も、物語に準じて「バンブー」と表記することにする。

 バンブーは色々な特技を持っていた。
 何より圧倒的な体格から喧嘩上等、無敵を誇り、一部ではかなり恐れられていたようだ。
 しかし、私は実はその面でのバンブーをあまり知らない。
 噂には聞いていたが、私の知るバンブーはひっきりなしに冗談を連発する明るい少年だった。
 目立つタイプで何かと標的になりやすく、「専守防衛」しているうちに怖がられてしまった面もあったのではないだろうか。
 私から見たバンブーは粗暴なタイプでは全くなく、むしろおバカな小学生男子の中では、ちょっと「浮いてる」くらいに知的な少年だった。
 今から考えると私は当時のバンブーに、多少は話の通じる相手として見てもらえていたのかもしれないなと思う。
 
 そしてバンブーは、「当てもん」の達人でもあった。
 近所に何か所かあった駄菓子屋的なお店や、露天などで「当り」を引き当てる極意を会得していて、賞品をたくさん持っていた。
 それも単に運まかせであるとか経済力に物を言わせるのではなく、きちんとした論理的な方法論のもとに当りを引き当てており、私もその現場を何度も目撃した。
 実は私はその秘密をこっそり伝授されていて、二人で近所のお店の「商品荒し」をやって回っていたのである。
 差支えない程度に、秘伝の一端を紹介してみよう。
(つづく)
posted by 九郎 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | サブカルチャー | 更新情報をチェックする
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